便秘

国際的に提唱されている「便秘」の定義というものがあります。
それは?
毎日排便があっても便秘の人もいれば、3日に1度の排便でも便秘でない人もいます。
そこで、この記事では、便秘の定義とその解消法を紹介します。

1.「便秘」の定義

(1)機能性便秘の国際基準とは?

便秘の定義は、学会によってもまちまちで、統一された確固たる定義というものはありません。
ちなみに、機能性消化器疾患「便秘」として国際的に定義されている「RomeⅣ基準(2016年改訂版)」をご紹介しましょう。

①次の6つのうち2つ以上満たす
・排便の4回に1回以上にいきみが必要
・排便の4回に1回以上は固いコロコロした便
・排便の4回に1回以上は残便感有り
・排便の4回に1回以上は、直腸や肛門辺りに詰まったような閉塞感有り
・排便の4回に1回上は、腹部の圧迫や腸部分のマッサージ等便が出やすいよう促す行為がないと排便できない
・自発的な排便が週3回未満

②下剤を使う事なく軟便になるのは希

③ストレス型の「便秘IBM」でないこと

これらの基準に当てはまる症状が半年以上前からあって、3ヶ月前からは全ての基準を満たしている場合、「便秘」といいます。
これが、国際的な基準による機能性の「便秘」です。
子のようなっ臭い基準による便秘というと難しい感じがしますが、簡単にいうと次のような感じです。
毎日排便があっても、快適でなく痛みを伴ったり、軟便だったり、残便感があったり、コロコロ固い便だったり・・・etc.
要するに、毎日排便していても、スッキリしない感じの人は、便秘症状なのっです。
反対に、3日に1回の排便であっても、朝からスッキリ快便の方は、便秘ではないといえます。
つまり、排便機能に何ら異常がなく、腸内環境が整っていれば便秘ではないといえるのです。

(2)便秘には機能性便秘とストレス性便秘がある

便秘の国際基準「RomeⅣ基準(2016年改訂版)」とは、機能性便秘の基準であって、腸の排便機能に何らかの異常が生じた場合、明らかな病変がある場合の2種類です。
一方、この国際基準に当てはまらない、便秘IBMというものもあります。
過剰なストレス状態になったときに決まって便秘になる状態で、機能性の疾患にはあてはまりません。
ストレスによって、自律神経のバランスが崩れて、腸に痙攣を起こすと、便が腸内を行ったり来たりして排便しにくい状態になります。
また、食後しばらくすると腹部の激痛を伴うにも拘わらず、中々排便できない状態で、排便できれば腹痛は治まります。
胃腸は連動して症状が起ることが多いので、胃腸が活発に動く食後にこの症状は起きます。
また、嘔吐やガスがたまるために生じる食欲不振や頭痛等の神経疾患や悪化すると精神疾患を煩うこともあります。
また、自律神経が腸内の水分調節をしていますので、ストレスによって自律神経が乱れると、腸内の水分調節が上手くいかずに、便秘になったり下痢になったりしやすい状態となります。

2.腸内環境が悪化すると太りやすくなる?

(1)腸内環境の悪化は便秘だけでなく体調不良の源になる?

腸内環境が悪化して便秘になると、腸内の毒素が腸内の毛細血管を介して、全身に回ってしまいます。その結果、内臓の機能低下が生じて、身体にあらゆる不調が現れます。

(2)腸内環境によって血液が変わる「腸管造血説」とは?

また、腸内は免疫力やホルモンの製造工場のようなものなので、腸内環境の悪化は、免疫力低下やホルモンバランスの乱れも生じます。
東洋医学の考え方においては、血液をつくるのは骨髄ですが、その骨髄でつくる血液の原料を作っているのは腸内である(腸管造血説)と考えられてしまいます。
この説によると、腸内環境が良いと、上質な原料で血液が作られるので、サラサラ血液が骨髄で作られます。
サラサラ血液の血流は良く、身体の隅々まで行き渡ります。
そして、身体の隅々の細胞にまで栄養や酸素を十分に与えることができます。
その結果、冷え症も解消、新陳代謝も上がります。
内臓機能の働きもアップするので、基礎代謝も上がって、脂肪燃焼をしやすい身体になりますので、痩せた異質になるといわれています。
一方、腸内環境が悪くて、骨髄でドロドロ血液が作られている人は、身体の隅々まで血液が行き渡らずに、細胞内に取り込まれなかった血液中の栄養素が脂肪になって蓄えられるので、肥満体質になりやすいともいわれています。
つまり、腸内環境の改善は、食べても太らない痩せ体質づくりに繋がるというわけです。

3.便秘解消の裏技

(1)腸のマッサージ

大腸には詰まりやすい場所という部分があります。
初めの詰まりやすい部分は、小腸と大腸が繋がっている大腸の入り口、すなわち右の股関節の少し上でおへその少し下辺りです。
大腸は、腹部に小腸を取り囲むように四角の形を作っていますので、2番目の詰まりやすい場所は、左のウェストの内側の腸の曲がる角っこです。
この2カ所の腸を掴んでもむような感じで、お腹の外側からマッサージすると、便のつまりを解消して、便を先に送ることができるので、便を肛門へと導きやすくなります。
また、腸をもんだ後は大きく腰を回すと、腸の働きを促して便意を催しやすくなります。
腰回しは、両手を腰に起き、右回りに5~10回、左回りに5~10回、これをワンセットにして、1日数回、空き時間に行うと良いですよ。

(2)排便時はトイレに長時間こもるのは便秘の元!?

排便のために、雑誌や新聞を持ち込んで、長時間取り組むという方もいらっしゃいますが、トイレには10分以上こもらない習慣を身につけるのがお勧めです。
10分頑張っても排便できなかったら、一旦トイレを出ましょう。
そして、再び便意を催したらトイレに行くのです。
身体に、「トイレに入って便座に座ったら出す」そういう習慣を覚えさせるのです。

(3)便意を催すポーズ

便座に座って、右手で左足首、左手で右足首を順次持ってみましょう。
腰が捻れて腸を刺激しますので、排便を促してくれます。

(4)効果的な排便のポーズ

また、便座に座っているときに、「考える人」ポーズを取るときには、背筋を伸ばしてお尻を突き出すようなポーズがお勧めです。
効果的に便を押し出せます。
また、前屈み、後ろ屈みと腰の角度を変えて出やすい角度を研究してみましょう。
いつも同じ姿勢だと、大腸の一カ所のみに力が入るので、腸に圧力がかかって窪みができてしまうことがあります。
このように腸を変形させてしまうと、腸を通過する便がその窪みにひっかかって、排便が困難になってしまうこともあるからです。

4.便秘解消にお勧めのものは?

(1)便秘解消に便秘薬の常習は危険!?

便秘解消に、市販の便秘薬を常用する習慣をつけてしまうと、市販薬を飲まないと腸が働かなくなってしまいます。
また下剤の多様は、腸壁を傷つけ、変色させてしまい、腸内環境の悪化を促進してしまうことにもなりかねません。

(2)便秘解消にお勧め食品とは?

食物繊維
食物繊維には2種類ありますので、便の状態に合わせて適切な食物繊維を取る必要があります。
便が硬くなりがちな方は、水分の多い水溶性食物繊維、軟便気味の方は、不溶性食物繊維がお勧めです。
・水溶性食物繊維:リンゴ・ニンジン・海藻類・こんにゃく
・不溶性食物繊維:大豆・イモ類・キノコ・ゴボウ

発酵食品
日本人の腸は、欧米人の腸よりも長いので、腸内の便の滞留時間が長くなりがちなので、便が硬くなりがちです。
そのため、便が硬くなって腐ってしまうのを防ぐために、発酵食品(お漬け物や納豆、味噌、チーズ等)がヨーグルトよりもお勧めなのです。
ちなみに、漬け物を毎日朝昼晩に食していた江戸時代には、「便秘」という病気はなかったという説もあります。

オリーブオイル
腸壁の潤滑油になり得るオリーブオイルを大さじ2杯ストレートで食すのもお勧めです。

善玉菌やビフィズス菌
また、善玉菌の餌となるオリゴ糖や、腸内環境を良くしてくれるビフィズス菌の摂取が必要です。
食事や発酵食品やヨーグルトだけでは、便秘が改善されない人は、市販の便秘薬に頼るよりも、健康食品や漢方薬や整腸剤の力も借りて腸内環境を整え、自然な排便力をつけるのがお勧めなのです。

朝一の白湯や朝食
朝一の白湯は、腸の活動を朝一から強制的に促します。
排便に効果的な食材を献立に織り交ぜて、朝から朝食をとるのは、意図連動して腸を強制的に活発に働かせるのに効果的です。

まとめ

腸は、身体の第二の心臓ともいわれています。
便秘になりにくい身体作りは、健康の礎にもなるのです。
腸内環境を整えて身体の中からきれいにするだけで、美容にもダイエットにも繋がります。
ストレスを受けやすい世の中で、どんなに腸に優しい生活をしても、ストレス性の便秘になってしまうこともあります。
できるだけストレスを発散させて、十分な睡眠にバランスの良い食生活、適度な運動をして、身体に優しい生活に、便意を促す体操や習慣を心がけて、腸内環境の維持に心がけましょう。