腰痛

昔は、背骨の疾患・関節や筋肉の損傷や内臓の病気によるものが腰痛の原因だという説が濃厚でしたが、最近ではストレスや生活習慣等も腰痛の原因だという節か追加されています。
そこで、腰痛のメカニズムと簡単な腰痛対策を紹介します。

1.腰痛になるメカニズム

(1)筋肉疲労による腰痛

人は進化の過程で二足歩行となり、脳みそも重くなったために、両腕の重さと頭の重さを上手に分散させられるために、人の骨はS字カーブとなっています。
このS字カーブの形成のために、背骨は、椎骨という24個の骨が、間に椎間板というクッション材を挟んで、積み木のように重なっています。
実は、腰を伸ばしての二足歩行は、骨盤で重心をとって身体を支えているのです。
絶妙なバランスを保たないと、背筋を伸ばして立つことはできないので、身体が少しでも傾くと、骨盤に大きな負担がかかります。
そうならないように、背骨がS字カーブを作って身体の重さを分散させ、骨盤にかかる負荷を少なくしています。
さらに、骨の負担を少しでも軽くするために、筋肉が何層にも重なって骨を支えています。
とくに腰回りは強靱な筋肉が支えています。
ですから、腰痛の最も大きな原因は、これらの筋肉の疲労による鈍痛と骨や神経の痛みです。

(2)腰椎の異常による腰痛

背骨の腰の辺りの最も腰痛に関係のある骨の解説に入ります。
椎骨と骨盤をつなぐ部分を仙骨といい、第1から第5までの椎骨を腰椎といいます。
この腰椎がS字の下のカーブを作って仙骨に繋がっているので、腰椎と腰椎の間の椎間板が潰れると、腰椎が前や後ろにずれて、神経に障ります。
腰椎同士が摩擦で削れたり、知らない間にヒビや骨折をしていたりすることで、骨の異常による腰痛が起ります。

(3)内臓の病気による腰痛

また、骨盤は臓器を支えていて、腰周辺は膵臓・腎臓・肝臓等の重要な臓器が集まっています。
これらの臓器に異常が生じて、痛みを発した場合、腰周辺が痛いということで、病気による腰痛となるのです。

2.運動不足は腰痛を引き起こす?

肉体労働も過激な運動もしていないのに、いきなりのぎっくり腰や、腰痛に悩まされる人がいます。
それは、筋肉がやせ細って、骨を十分に支えきれずに、骨にダイレクトに重力による加重がかかってしまいます。
たった5つの腰椎に、上半身全ての重さがかかってくるのです。
運動不足で、腹筋や臀部、腰周辺の筋肉等が腰椎を十分に支えられずにいたら、骨にダイレクトに重力による身体の重さがかかってくるのですから、腰周辺の筋肉が如何にがんばっているのか想像がつくと思います。
しかも、何もしなくても、加齢によって体内のコラーゲンが減少し、椎間板の弾力がなくなって固くなっていき、椎間板が潰れてしまうこともあります。
その結果、腰椎が前や後ろに滑り落ちて、その腰椎が神経に障ってしびれや痛みが生じるのが、腰椎すべり症です。
何らかの原因で椎間板が飛び出てしまうとヘルニアです。
例えば美容師さんのように、1日中中腰になってしまう人や、引っ越し屋さん等重い荷物を日常的に持っている人等、腰周辺の筋肉を酷使する仕事の人が腰周辺の筋肉が常に緊張しています。
筋肉には、毛細血管が張り巡らされていますので、筋肉が緊張して血行が悪くなって、筋肉細胞が酸欠や栄養不足にもなりやすくなります。
すると、筋肉疲労となり、休息が必要な危険サインである痛み物質が分泌され、それを我慢していると、筋肉がますます緊張して筋肉疲労が悪化して慢性化してしまいます。
これが筋肉疲労による腰痛です。
この状態が悪化すると、筋肉が腰椎を支えられなくなって、腰椎に異常が起きて、痛みが激しくなるのです。

3.ストレスによる腰痛が起る?

ストレス過多な環境にいると、ストレスによって交感神経が活発になって、筋肉が緊張し血行が悪くなります。
この状態が日常的になって、自律神経が乱れて交感神経が活発になった状態が慢性的になってしまいます。
この状態は、筋肉疲労の腰痛になるメカニズムと同じ状況です。
さらに、ストレスが日常化して自律神経が乱れてしまうと、睡眠に悪影響を与え始めます。
人の身体は睡眠によって身体の休息やメンテナンスが行なわれていますので、疲労が蓄積して、細胞単位で身体のメンテナンス不足が生じますので、筋肉疲労も加速し、腰痛もますます悪化してしまうのです。
また、ストレスは精神的なものばかりではありません。
脳は、肉体的な苦痛も、精神的なストレスと同じように反応します。
そのため、長時間の同じ姿勢や、スマホやパソコンに集中しっぱなしも同様なのです。
さらに、長時間のデスクワーク、長時間の立ち仕事、長時間のスマホやパソコン作業は、姿勢が崩れやすく、腰に負担をかけてしまいますので、腰痛になりやすいのです。

4.腰痛防止の生活スタイル

腰痛のメカニズムをご理解いただけましたでしょうか?
適度な運動をして、腹筋や背筋を鍛えて、骨盤を正しい位置に垂直に保ちましょう。
正しい姿勢で、背骨のS字カーブを維持することが、腰椎にもその周辺の筋肉にも負担をかけない状態なのです。
そもそも背筋を正しく保つには、腹筋と背筋を鍛えなければなりません。
骨盤を傾けないように正しい位置に保つには、足を組まないようにして、立つときもバランス良くまっすぐに立つ必要があります。
正しく立ち、正しく歩くには、臀部の筋肉や股・脚の筋肉も必要です。
筋肉繊維も鍛えると太くなって、骨を支える力が大きくなります。
健康な筋肉を作るには、血行を良くし筋肉の細胞に十分な酸素と栄養を与えなければなりません。
また、十分な睡眠をとって、身体のメンテナンスも十分に行なわれる状態でいなければなりません。
食生活にも気を遣って、バランスの良い食事に心がけましょう。
つまり、身体に優しい健康的な生活を送り、ストレスの少ない生活を心がけ、ストレスを上手に発散して、適度な運動をして適度な筋肉をつける、これが、腰痛予防の基本です。
それに、このような生活を続けていると、基礎代謝が上がってダイエット効果も現れます。
体重が増えるとその分腰にかかる重さが重くなるので、腰の負担も大きく、腰痛になりやすいので、ダイエット効果は腰痛予防にもなるのです。

まとめ

一旦慢性的な腰痛やぎっくり腰の癖がついてしまったら、無理な運動をせずに、整体等に通って、痛みを抑え、少しずつ緩やかに筋力をつけましょう。
腰の痛みが酷いときは、腰痛ベルトやコルセットは効果的ですが、痛みが治まったら外すようにしましょう。
腰痛ベルトやコルセットは、腰の筋肉を使わなくなるので、筋肉が痩せて骨にダイレクトに重さがかかるようになるので、逆効果なのです。
常に良い姿勢を保つ工夫をする、腰に悪い態勢をしない、それだけでも腹筋・背筋が鍛えられます。
腰に負担がかからないように、重い物を持つときは、膝をついて、骨盤をまっすぐにしたまま膝で荷物を支えながら立つのがお勧めです。
そして、整体に通っていても腰痛が続くようなとき、痛みが激しいときは、病気が原因であったり、腰椎にヒビや骨折をしていることもあるので、早めに整形外科で診てもらいましょう。