同一成分なのに医療用医薬品の効能は市販薬と違う?

意外と知られてないのですが、医療医薬品と一般用医薬品では、同じ処方の商品でも効能効果が全く違います。なぜだと思いますか?今回は、このことをわかりやすくご説明していきます。

■漢方薬の場合

例えば、ツムラの漢方薬で比較してみましょう。病院でも処方されますし、ドラッグストアでも取り扱いがありますよね。

●医療用のツムラ葛根湯の効能効果

自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症

感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん

 

●一般用医薬品のツムラ葛根湯の効能効果

体力中等度以上のものの次の諸症

感冒の初期(汗をかいていないもの),鼻かぜ,鼻炎,頭痛,肩こり,筋肉痛,手や肩の痛み

 

実は、市販薬と医療用医薬品では、一日あたりの含有量が違います。一般用医薬品は、5g/1日なのですが、医療用では、7.5g/1日なのです。1.5倍もエキス量が濃いことがわかります。効能の違いは、含有量が違うからでしょうか?


では、比較のためにもう一つ、ビーソフテンクリームとピアソンHPクリームを比較してみましょう。

●外用薬の場合

●ビーソフテンクリームの効能効果

皮脂欠乏症、進行性指掌角皮症、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患 (注射後の硬結並びに疼痛)、血栓性静脈炎 (痔核を含む)、外傷 (打撲、捻挫、挫傷) 後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸 (乳児期)

 

●ピアソンHPクリームの効能効果

小児の乾燥性皮ふ、乾皮症、手指の荒れ、しもやけ(ただれを除く)、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手足のひび・あかぎれ、きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛

ビーソフテンとピアソンって、名前も違うし、本当に成分など同じなの?と疑問に思う方のために、以下に比較表を掲載しますね。

比べていただいてわかると思うのですが、ピアソンHPクリームとビーソフテンクリームは、全く同じ商品なのです。
添加物まで全く同じということがわかりますよね。でも、医療現場で使う場合と一般用医薬品では効能効果が違うのです。

●まとめ

もうお気づきかもしれませんが、医療医薬品と一般用医薬品では、診断する方が違いますよね。医療用医薬品の場合、医師が一人ひとり診断を施し、その人にあった治療方針をたて、投薬します。ドラッグストアで買える市販薬は、一般の方が自己判断で購入され使用することが多いと思います。このことから、医療用医薬品の効能については、医師の診断のもとに限って適用がありますよ。ということなのです。
一般用医薬品は、医師の診断がなくても安全に効果が期待できる「効能・効果」を厚労省が定めているわけです。安全といいましたが、医薬品に副作用がゼロのものはありません。効能・効果の記載以外の目的では使用しないこと。一定期間使っても効果が得られないときは専門家の診断を速やかに受けることが大切です。
薬剤師や登録販売者のアドバイスを聞きながら、一般用医薬品と上手に付き合っていきましょう。

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香川県観音寺市の創業100年になる福田薬局の三代目薬剤師。 ドラッグストア業界に30年従事、チェーンドラッグと日々戦い続ける毎日をおくる。2013年よりEC事業にも本格参入。2店舗の実店舗と7店舗のネットショップを運営。 ランチェスター戦略が大好きなミドルエイジ!