「更年期障害」という言葉を聞いたことがない人は少ないと思います。
生理が終わる前後5年程度に起る女性のさまざまな体調不良だと女性の更年期障害については男性にも広く知られています。
でも、男性にも更年期はあります。
ここでは、更年期障害について詳しく解説します。
1.女性の更年期障害
(1)女性の更年期とは?
更年期というのは、女性が閉経前後5年程度に、女性ホルモンが極端に減少しますので、身体のあちこちに悪影響を及ぼします。
ところが、女性ホルモン減少による急な身体の変化に脳がついて行けずに、パニックを起こした現象ともいわれています。「足を切断した人が、無いはずの足に痛みやかゆみを覚えてしまう」という話を聞いたことがある人も多いと思います。足があった頃の感覚を脳が覚えているからです。
それと同じように、脳は長年女性ホルモンが十分にあった頃の身体の動きをしようとします。
しかし、女性ホルモンが減少して、ホルモンバランスが乱れた状態だということに脳がついて行けずに、更年期障害といわれる様々な症状が起るのです。
(2)女性の更年期障害の症状
主に「エストロゲン」という女性ホルモンの一種が急激に変化します。
エストロゲンは、妊娠・出産の働きに作用するだけでなく、女性らしい体つきや、お肌や髪の毛といった美容関係に影響をもたらします。ですから、女性は閉経すると一気に老けるともいわれています。そして、このホルモンバランスの乱れが、自律神経に悪影響を及ぼします。
逆にストレスの多い生活をしていると自律神経のバランスの乱れが原因のホルモンバランスの乱れを引き起こすこともあります。年齢に関係なく閉経してしまって、更年期障害になってしまうこともありますので、気をつけましょう。
ちなみに、通常より若い世代に閉経して起る症状を早期更年期障害といいます。
更年期の期間の症状は、個人差が大きく、その症状も、軽い症状から生活に支障をきたすほどの重い症状まで、体調不良から精神疾患まで本当に様々な症状があって、人によってその度合いもそれぞれです。
女性の更年期障害の主な症状
・ホットフラッシュ(急な汗や顔のほてりやのぼせ)
・冷え症
・むくみ
・倦怠感
・めまいや立ちくらみや耳鳴り
・頭痛
・睡眠に悪影響
・動悸や息切れ
・吐き気
・肩こりや腰痛
・イライラや不安、情緒不安定、うつ等の精神疾患
2.男性にも更年期はある
(1)男性の更年期
ところで、女性のように目立っていませんが、実は男性にも更年期はあります。
男性には、月経という生理現象はないので、女性のように極端に女性ホルモンが減少してしまう目立った現象はありません。女性の場合は、女性ホルモンの一種の「エストロゲン」の急激な減少によって起りますが、男性は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」の減少が主な原因です。
テストステロンは、男性の生殖器や髭や体毛に影響を及ぼすだけでなく、決断力や判断力といった認知機能にも影響を及ぼします。社会的ホルモンとも呼ばれ、仕事中にはたくさん分泌され、家族と一緒にいるときや赤ちゃんを抱っこすると減少するともいわれています。原始時代のホモサピエンス時代の名残で、子孫を残すためや狩りをするときの戦いモードの時に力を発揮するホルモンだともいわれています。
男性のホルモンバランスの乱れの原因は、ストレスと加齢によるものだといわれています。ですから、男性も女性と同じ頃、すなわち40歳半ばから後半辺りから、徐々に更年期による身体の異変が起こり始めます。
ちなみに、男性も、女性と同じように、あまりにもストレス過剰な生活を押していると、若くして早期更年期障害になってしまうこともありますので、気をつけましょう。
(2)男性の更年期障害
女性ほど急激なホルモンバランスの乱れではありませんが、更年期によって、男性も男性ホルモンのバランスが乱れます。更年期の自覚のない男性にとっては、急な性欲の減少にショックを受ける人もいるかもしれません。
また、判断力や決断力が低下を感じたり、やる気や意欲の低下による倦怠感を感じるかもしれません。男性ホルモンの減少によって、筋力や運動能力の低下を感じるかもしれません。このような感覚の変化を深く気にする人もいれば、「年のせいかな?」とあまり気にしない人もいます。だから、女性ほど目に見える急激な身体の変化を起こすわけではないので、女性のように、多くの人に、脳がパニックを起こすほどの症状が現れるとは限りません。
40代後半といえば、まだ働き盛りですのです。男性の場合は、ホルモンバランスの乱れと、昔の自分と違ってきたという不安から来る強いストレスが、自律神経を大きく乱します。
しかし、一般的に、真面目、神経質、几帳面、責任感が強いといった性格の男性は、「昔はこんなふうではなかった」と、現在の自分を受け入れることができずに、更年期障害が重くなりやすいといわれています。
男性の更年期障害の主な症状
・性欲の低下
・ED
・倦怠感が強い
・筋力の低下や運動能力の低下
・メタボロックシンドローム
・頻尿
・身体のほてりやのぼせ
・動悸
・不安や怒りを強く感じる
・仕事のモチベーションや能力の低下
・決断や判断に自信がなくなる
・うつ等の精神疾患
3.更年期障害の対策
更年期は老化現象の一種です。
誰にでも訪れる、人生の転機ともいえます。現在の自分を受け入れ、若い頃とは違った人生の楽しみ方を見つけることが、何よりも大切です。心の持ち方を変える人生の曲がり角なのかもしれません。
更年期障害は、ホルモンバランスの乱れによる身体の変化です。上手に付き合っていって、思考が身体の変化に追いつくと自然と治まってくるものなのです。気持ちはいつまでも若々しい自分でも、身体がついて行かないイライラは、更年期障害を悪化させてしまいます。どうしても不安やストレスを感じてしまうのなら、医師に相談することをおすすめします。
男性も女性も、ホルモンバランスの乱れによる自律神経の乱れが、身体に様々な症状を起こしています。
自律神経の乱れは、軽いウォーキングやリズム運動、ストレスの少ない生活のためのリラックス方法を見つけることが大切です。
まとめ
更年期の年齢になっても、心はいつまでも若い人が多いので、昔できたことができなくなったような、身体に起るさまざまな変化や症状に対しては不安が募り症状を重くしてしまいます。
だから、生活に支障をきたすようなら、早めに医師に相談しましょう。放っておいて我慢と忍耐の生活をしていると、精神的なストレスから重い精神疾患を引き起こすこともあります。
女性なら、心療内科や婦人科の医師に相談することをおすすめします。
男性の場合も、身体の症状によって診療科目もいろいろかもしれませんが、医師に相談するのがおすすめです。
西洋医学だけでなく、東洋医学、漢方薬、針灸・按摩といった、自分に合った身体に良いことを、積極的に取り入れるのもおすすめです。ひとつでも症状が改善されれば、精神的な安心にも繋がります。
また、この時期に、自分の身体にむち打って頑張ることは逆効果です。