「貧血」といえば「鉄欠乏性貧血」と思われるほど、鉄欠乏性貧血は貧血の8割を占めています。
また、月経や出産や妊娠時の女性特有の身体の仕組みによって、貧血は女性に多い病気ともいわれています。でも貧血には様々な種類の貧血があり、そして女性だけでなく男性にもその症状は現れます。男性の貧血は深刻なケースが多いのも特徴です。
そこで、ここでは貧血について正しい知識を身につけるために、貧血について詳しく解説します。
1.貧血といえば鉄欠乏性貧血!
食生活における鉄分不足で起る症状です。
鉄分は赤血球の成分であり、筋肉の重要な構成成分でもあり、体内酵素形成にも欠かせません。健康な身体は鉄分の消費量と食事で補う量のバランスがとれているものです。
しかし、出血や月経や内臓からの出血によって、体内に蓄えられている鉄分から補われ、その鉄分が少なくなると貧血症状がおきます。ですから、食事から補われる鉄分が不足したからといってすぐに貧血になるわけではありませんので、中々気付かれにくい病気でもあります。
そして、その症状は非常にゆっくりで、顔が青白くなって、集中力が失われ、身体がだるくなっていきますので、、軽い症状の場合は気付きにくいのです。めまいや動悸によって、気分が悪くなったり気を失ったりすることで、病院に行って初めて貧血だと気付いたり、健康診断の血液検査で貧血が見つかったりすることも多いでしょう。
以下の症状が見られたときは欠乏性貧血のサインですから、気をつけましょう。
・爪が中央がへこんだ匙状爪
・舌の表面のブツブツが少なくなる
・口内炎や口角炎が多くなる
・煎餅等の固いもの、食品以外の泥や糊等を食べたくなる
・睡眠中に足が動く周期性四肢障害
・脚がむずむずして動かさずに入られないレストレッグス症候群(むずむず症候群)
・飲み込むのが困難になる
・月経が止る
・胸痛や心不全
他にも、赤血球は体内の細胞に栄養分や酸素を運ぶ働きをしていますので、体内の様々な臓器の機能低下を招いてしまいます。ですから、肌がカサカサになったり抜け毛が酷くなったり、太りやすくなったり、美容に関する様々な症状ばかりか、あらゆる未病(なんだか体調が悪い)も引き起こします。
また、疲れ防止になる「タンニン」の成分が多く含まれているコーヒーや紅茶や緑茶を多く飲み過ぎると、貧血になりやすくなります。タンニンは、鉄の吸収を阻害してしまうことがあるからです。
鉄欠乏症貧血の治療法は、鉄剤の服用や点滴・注射による投与で簡単にその症状を抑えることができます。しかし、鉄剤を3ヶ月投与しても血液検査で貧血を示す数値が改善されない場合は、臓器からの出血が考えられます。ですから、貧血の場合は自己診断ではなく、医師の診断を受けることをおすすめします。
体内の臓器からの出血がないか内視鏡検査等の精密検査が必要です。
2.鉄欠乏性貧血以外の貧血もたくさんある!
鉄欠乏性貧血以外の貧血もたくさんあります。
・悪性貧血
ビタミンB12や葉酸の不足蛾原因
・溶血性貧血
何らかの原因によって赤血球が壊れてしまうことを溶血というのですが、そのために赤血球不足で貧血症状が起ります。
・再生不良性貧血
赤血球をつくる骨髄に異常が起り、赤血球不足となって貧血症状が起ります。
・腎性貧血
腎臓は、体内が貧血状態になると、赤血球をつくるように骨髄に指令を出す司令塔です。
腎臓は、エリスロポエチンというホルモン物質を分泌して、骨髄に赤血球づくりの指令を出すのですが、腎臓機能に障害が起ると、このエリスロポエチンというホルモン物質の生成に悪影響を及ぼしてしまいます。そうなると、赤血球づくりの司令塔としての働きが十分にできなくなりますので、貧血症状を引き起こします。
これが腎臓性貧血です。
3.男性の貧血は病気が隠れている可能性大!?
男性の貧血の場合は、臓器の出血によって起っていることが多いので要注意です。
胃や腸にポリープができている場合や、腫瘍が悪化して出血している可能性が考えられますので、早めの精密検査が必要です。胃癌や大腸癌、十二指腸潰瘍、食道癌等の深刻な病気から、胃潰瘍・胃や腸等のポリープ、痔まで、さまざまな病気が疑われます。
ですから、貧血の症状以外に血便やその他気になる症状がある場合は、早急に医師に相談しましょう。
もちろん、女性同様男性にも鉄欠乏性貧血やその他の貧血の可能性もあります。
まとめ
たかが貧血、されど貧血です。軽い貧血なら、生活習慣の改善や食事療法、医師の処方による鉄剤の服用、亜鉛や鉄のサプリメント等の服用で症状は改善されます。
しかし、臓器の出血による貧血は、精密検査をしないと分からないのです。
貧血は、臓器からの出血のサインでもあります。臓器からの出血は、隠れた病気のサインの可能性が高いので、自己診断でサプリメントや漢方薬で対処せずに、医師に相談することをお勧めします。