下痢

腸は、西洋医学では「第二の脳」といわれています。
腸がこのようにいわれているのは、心身に大きく影響を及ぼすからです。健康維持に役立つ免疫細胞や幸せホルモンと異名を持つセロトニンも腸でつくられるといわれています。
また、自律神経は腸に直結しているので、自律神経の乱れはそのまま腸内環境の悪化に繋がります。ストレスや緊張が長期にわたって続いたときに下痢や便秘になってしまうのは、そのためです。
この記事では、腸内環境の悪化のひとつである「下痢」について解説します。

1.「便秘」の定義

下痢の症状は、腸内の水分が過剰となって、便が水上になったり、泥状の軟便状態になったりします。この下痢の症状の原因として考えられるものを上げてみましょう。

(1)ストレスによって自律神経が腸内水分調節に異常を起こす

腸には自律神経が直結していて、ストレスや長時間の緊張によって、自律神経のバランスが乱れたときに、腸内の水分コントロールに異常をきたしたします。
子供の時に、緊張して大失敗をした場合、大人になっても同じような状況に直面すると、腸内環境がその時と同じ状況になってしまうことがあります。
これが、腸が「第二の脳」といわれる所以です。
腸が子供の時の状況を記憶しているといわれているからです。緊張したとき、ここぞという時に下痢になる人は、腸が反射的に「緊張したら腸内に水分を集める」ということを記憶し、習慣化しているからです。
反対に、ストレスを感じると腸内の水分が減って便秘になってしまう人もいます。ストレスによる下痢は、ストレス状況や緊張状態から解放されると治まりますので、数時間、あるいは長くても数日で症状は治まります。

(2)食べ物が原因の下痢

身体に害を及ぼす食品を口にしたときに、腸内は、下痢状態になって、身体に害のあるものをいち早く体外に押し出そうとするのです。
例えば、1度でも牡蠣にあたって酷くお腹を壊した人は、牡蠣を食べると決まって下痢になってしまう体質になってしまうこともあります。
これは、過去に牡蠣にあたって酷い目に遭ったので、それを防ごうと腸が防衛本能として下痢を引き起こすのです。このような状況から、過去の状況を腸が覚えているということで、腸が本能的な判断を下す「第二の脳」といわれる所以です。
また、腸内に身体に害を及ぼす細菌や異物が侵入してきたときも、いち早く体外に押し出そうとします。高熱が出て熱が下がった後に、下痢をしてしまうのは、体内に残った細菌を押し出そうとするからです。腸内に水分が集められて、便の流れをスピーディにして、勢いよく便を体外に排出します。
これも腸の「第二の脳」としての防衛本能作用です。

(3)お腹を冷やしたときの下痢

お腹を冷やすつもりがなくても、お腹を冷やす食べ物を食べたり、体調が悪化して血流が悪くなって冷え症になったりして、下痢を引き起こすこともあります。
お腹を冷やすと、体内の内臓機能が低下して、本来腸から吸収されて体内に循環される腸内の水分吸収力も低下してしまいます。すると、腸内の水分が吸収されずに腸内に水分が余ってしまいます。そのため、腸内の過度な水分によって下痢状態になってしまうのです。
とにかく、下痢になったら、身に覚えがなくても身体が悲鳴を上げているのだと思って胃腸に優しい食事と休養をしましょう。

(4)アルコールが原因の腸内の水分過剰による下痢

空腹でアルコールを摂取しすぎると、内臓が冷えて知らないうちに機能低下してしまいます。
その結果、普段は何でも無い食品を摂取しても、胃腸に負担がかかってしまうことがあります。お酒のおつまみになりやすいお総菜は、脂っこいものや消化に良くないもの、身体を冷やすものが勢揃いです。
そのため、「アルコールを飲んだ後に下痢をする」人が多いのです。便秘の人がアルコールを摂取した翌日だけ、お通じが快適になる人もいるのは、腸内に水分が増して便秘が一時的に改善されるのです。
また、肝臓で分解できないくらい多量のアルコールを摂取したときは、下痢を下痢止めで強制的に止めるのはお勧めできません。分解できなかったアルコールの成分が腸内に残っている時も、余分なアルコールの成分は体外に排出する必要があるからです。
吐いたら酔いが覚めるのは、アルコール成分が体内に排出されたからです。

2.下痢の症状の対処の仕方

ストレスが原因の下痢は、下痢状況を少しでも早く解消した方が体力の消耗が少なくてすみます。
そこで、下痢止めや整腸剤が効果的です。
しかし、食べ物が原因の下痢の場合は、身体に害のある食品や異物を体外に排出する必要がありますので、下手に下痢止めを服用するのは逆効果です。ばい菌や細菌だった場合は、下痢止めを飲むことで下痢は治まっても、細菌やばい菌が腸内に留まって、腸内から血液を介して全身に周り、健康に害を及ぼします。
このような場合は、下痢が治まるまで我慢して、腸内の排泄物を全て出してしまうのがお勧めなのです。そして、下痢が治まったら整腸剤を飲みましょう。
しかし、我慢できないくらい下痢が酷い場合は、早めに医師に相談して、体内の細菌やばい菌を抗生物質で殺してもらう事で、下痢を早く止めてもらうのがお勧めです。

まとめ

下痢になると、身体に害にナルものだけでなく、腸内細菌の善玉菌も免疫細胞もホルモンも何もかも体外に押し流されてしまいます。
さらに、小腸内の消化物の通過も早すぎて栄養を十分に吸収できないので、長期にわたると激やせや体内に十分な栄養が行き渡らないので、内臓機能も低下して、体調を悪化させてしまいます。
また、下痢が治まった後も身体は大きなダメージを負った後ですから、横になって安静にしているのがお勧めです。昼間のうたた寝は、比較的深い睡眠になって、身体のメンテナンスには最適ですので、腸の回復にも効果的です。
長期にわたる下痢は、病気が原因の場合もありますので、早めに医師に相談するようにしましょう。