「肺炎」と聞いて思い浮かぶのは、「風邪をこじらせて肺炎になる」とか、レントゲン検査で「肺が真っ白になっている」というようなイメージではないでしょうか?
最近では、65歳以上の肺炎は死亡率が高くなる、という情報がメディアで騒がれているにも拘らず、肺炎について詳しく知っている人が少ないのが現状です。
そこで、この記事では肺炎について詳しく解説します。
1.肺炎ってどんな病気?
肺炎は、肺に炎症が起る病気です。
肺炎は、風邪のように原因菌が特定されているのではなく、風邪のウイルスをはじめ、様々な細菌が原因で起ります。
誤嚥によって気管に入った異物が肺まで届いた結果、肺炎を引き起こすこともあります。
ただし、肺に炎症を起こして、咳が出ているのか、風邪のウイルスが原因で咳が出ているのか、その違いは非常にわかりにくいのです。
体内での細菌・ウイルスの生存期間は3~5日です。
ですから、普通の風邪なら、あるいはインフルエンザでも5日もすれば完治です。
しかし、この期間を過ぎても熱が下がらず、風邪の症状と似た症状が続く場合は、肺炎を疑いましょう。
肺炎も早期発見の方が完治も早く、苦しい状態にもならないので、次のような症状がある場合は、肺炎を疑って早めに医師に相談をしましょう。
・38度以上の高熱が続く
・咳が激しく、咳をすると胸に痛みが走る
・タンがたくさんでる
・タンがドロッとした感じで、黄色や緑色をしている
・息苦しくて夜も寝られない
・ハアハアと呼吸や脈拍が普段よりも速い感じがする
・変な汗が出る
・食欲不振
気管支炎でもこのような症状が出るので、一概にはいえないのですが、市販の風邪薬では効果がなく、症状がどんどん酷くなっていく状態の方は、すぐにでも医師に相談しましょう。
初めは肺炎でなかったのに、体力が弱っている状態で放置していると、体力低下とともに、免疫力も一緒に低下していくので、普段は肺に到達できないはずの原因菌が肺に到達して肺炎を引き起こす可能性も高まるのです。
ですから、たとえ普段市販薬で対処してしまう風邪だと思っても、普段と少しでも違ったら、早めに医師に相談しましょう。
風邪でも、ウイルス性の物は市販の風邪薬では治りませんし、気管支炎の場合もあります。
2.肺炎の原因
肺炎の原因には、先述したように様々な細菌やウイルス、マイコプラズマのような微生物もその原因のひとつです。
一般的に、肺炎にかかるのは、赤ちゃんや小さな子供、65歳以上のお年寄りが多いのです。
なぜなら、その間の年齢の人は、なかなか肺炎にはなりにくいのが一般的です。
よほど体力が弱っている時、風邪をこじらしたとき、過労状態のとき、病中病後の感染症等は例外です。
赤ちゃんや小さな子供の肺炎は、不潔な手で口を触ったり指をくわえたり、何かを口の中に入れたりすることで、様々な細菌やウイルスを口に運び気管支から肺へと運んでしまいます。
お年寄りの場合は、誤嚥によって気管に入った異物を吐き出すことができないまま肺炎を引き起こしてしまうケースが一般的です。
他にも風邪をこじらせて肺炎を引き起こすケースもありますので、気管支系の風邪の時は、用心が必要です。
3.肺炎の治療
肺炎の治療は、まずレントゲンのX線写真で肺炎かどうかを確認し、次に肺炎の場合は、血液検査で原因菌を特定して、原因菌に対応した処置が行われます。
その他、症状を軽くして苦痛を抑えるために、咳止め、解熱剤、痰を切る薬が処方されます。
しかし、特定までに時間がかかることもありますので、その間に症状が進行しないように、全ての菌やウイルスに対応可能な抗生物質で治療をします。
軽い場合は、自宅で医師の指示通りにお薬を飲んで、温かくして安静にしていると、一週間程度で治ります。
しかし、既に重傷化している場合は、入院して、酸素吸入や点滴による抗生剤の投与、咳止めや痰切りの薬も投与しながら、脈拍・呼吸数、胸水や酸素濃度観察を医師が注意深く観察しながら、徹底した治療管理が行われます。
こうしてだいたい2~3週間程度で退院できます。
4.肺炎の予防
肺炎の予防方法は、意外にも歯磨きや舌磨きが効果的なのです。
肺炎の原因菌は、口から入ります。
それらの原因菌は、普段から口の中に普通にいる菌であることもあります。
だから、歯磨き・舌磨きは、口の中の細菌を洗い流すのに効果的です。
普段なら、免疫細胞がいっぺんにやっつけてくれて、肺に進入することはないのですが、免疫力が弱っているときは、何が起るかわかりません。
普段から、歯磨き・舌磨きを念入りにして口の中の原因菌を減らして、さらに免疫力が低下しないよう、睡眠をしっかりとって、栄養バランスのとれた食事と規則正しい食生活を心がけましょう。
こうして健康な身体を作ることができれば、それだけで、免疫細胞という細菌やウイルスをやっつけ肺炎から守ってくれる強力な味方がついているのです。
だから、風邪をひかないよう健康に気を遣い、インフルエンザにかからないよう予防接種を受けましょう。
また、全ての肺炎に対応できるとは限りませんが、肺炎球菌ワクチンの摂取も効果的です。
最近では、自治体が時期を決めて65歳以上のお年寄りに無料、あるいは数千円で行っているところもあります。
まとめ
いかがでしたか?
体調に少しでも異変を感じたら、軽い風邪でも医師に相談するようにしましょう。
忙しくて病院に行く暇が無い人こそ、少しでも時間を作って医師に診てもらった方が、体調がいち早く回復して、元気になれますので、急がば回れです。
なぜなら、たとえ風邪も、市販の風邪薬より医師の処方する風邪薬の方がよく効いて、治りも早いからです。
体調の悪い状態で無理をするより、体調を回復させて仕事をした方が、頭もスッキリして作業効率も上がるという物です。
さらに、長期間体調が悪いと免疫力もどんどん低下していくので、病気を引き寄せているようなものなのです。
それに、若い頃から定期的にかかりつけ医に診てもらっていれば、その医師が、本人が気付かない肺炎やその他の病気を見つけてくれます。
あなたの身体を見慣れているからできる技です。
だから、日頃からあなたの身体をよく知るかかりつけ医を持つ事をお勧めします。