「ヘパリン類似物質」ってみなさん聞いたことがありますか?一時期ネット上で大きく話題になったあのヒルドイドソフトの主成分です。そもそもは乾燥肌や皮膚炎の治療に使うものなのですが、クチコミにより美容目的で処方してもらおうとする人が増え問題となりました。
そのヒルドイドソフトと同じヘパリン類似物質を含む商品が市販には多く存在しています。ここではその中でも人気のピアソンHPとアットノンについて深く掘り下げて見ていきましょう。成分や効果の違いは?どっちがおすすめなの?お店でパッケージを見比べただけではなかなか分からない情報をここではお伝えしていきますよ。
1.ヘパリン類似物質って何?
ピアソンHPとアットノンの比較に入る前にまずはヘパリン類似物質がそもそもどういう働きを持つ成分なのか、軽くおさらいしておきましょう。
1-1.ヘパリン類似物質の持つ3つの効果
ヘパリン類似物質の注目すべき効果は3つあります。
1.保湿効果
2.抗炎症効果
3.血行促進効果
保湿効果があることをご存知の方はとても多いですね。乾燥肌の治療のために病院のヒルドイドソフトを処方してもらったことがある方もいらっしゃるでしょう。それぞれの働きについてもう少し詳しく見てみましょう。
●保湿効果
ヘパリン類似物質は他のセラミドやコラーゲンのような他の保湿効果を持つものとは働き方が少々違います。表皮は上から順に角質層、顆粒層、有棘層、基底層と4つの層に分かれており、多くの保湿剤は1番上の角質層までしか浸透しません。しかしヘパリン類似物質はなんと1番肌の奥深くにある基底層まで浸透して働くのです。弱っている細胞に直接働きかけて肌の保湿力を回復していきます。
●抗炎症効果
ヘパリン類似物質=保湿というようなイメージが根付いていますが、実は抗炎症効果も持っています。抗炎症とは炎症を抑えるということ、炎症を起こして肌が赤くなっているようなところを鎮めてくれる働きがあります。
●血行促進効果
血液の流れを良くしてくれる血行促進効果もあります。抗炎症効果と血行促進効果を持っているためにアザや筋肉痛、捻挫の治療にも用いられます。
2.ピアソンHPの成分・効果
ピアソンHPにはクリームとローションのタイプがあり、どちらも1つあたり50g入っています。それぞれの成分を見ていきましょう。
2-1.ピアソンHPクリームの成分(100g中)
〈主成分〉
ヘパリン類似物質 0.3g
〈その他の成分〉
セタノール、白色ワセリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、パラオキシ安息香酸ブチル、
パラオキシ安息香酸メチル、プロピレングリコール、D- ソルビトール液
クリームタイプなので伸びが良く広範囲に伸ばしやすいですね。ローションタイプよりも使い心地が少ししっとりしています。
2-2.ピアソンHPローションの成分(100g中)
〈主成分〉
ヘパリン類似物質 0.3g
〈その他の成分〉
カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、ポリオキシエチレン(160)
ポリオキシプロピレン(30)グリコール、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン、
トリエタノールアミン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル
ベタつきが苦手な方はローションタイプを選ぶと良いですね。クリームよりもさらっとした使い心地が特徴です。
2-3.ピアソンHPの効能効果
〈効能効果〉
小児の乾燥性皮ふ、乾皮症、手指の荒れ、しもやけ(ただれを除く)、ひじ・ひざ・
かかと・くるぶしの角化症、手足のひび・あかぎれ、きず・やけどのあとの皮ふ
のしこり・つっぱり(顔面を除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛
クリームもローションも効能効果はまったく同じです。ほとんどの効能効果が「乾燥」が原因で起こるものに対応していますね。ヘパリン類似物質が高い保湿効果を活かして乾燥による症状を抑えていきます。血行促進効果や抗炎症効果もあるので打身やねんざ、筋肉痛などにも使用できます。
3.アットノンの成分・効果
では次にアットノンの成分や効果を見ていきましょう。アットノンはクリーム、ジェル、コンシーラーの3つのタイプが発売されています。ここでは特に売れているクリームとジェルについて触れていきます。ピアソンHPとの違いは果たしてあるのでしょうか?
3-1.アットノンEXクリームの成分(100g中)
〈主成分〉
・ヘパリン類似物質 0.3g
・アラントイン 0.2g
・グリチルリチン酸ニカリウム 1g
〈その他の成分〉
セタノール、ステアリルアルコール、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルポリシロキサン、自己乳化型ステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート60、カルボキシビニルポリマー、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、パラベン、エデト酸Na、トリエタノールアミン
クリームの方がさらっと伸びやすいのでジェルよりも人気です。ベタベタしないのでお子さまでも使いやすい塗り心地ですよ。
3-2.アットノンEXジェルの成分(100g中)
〈主成分〉
・ヘパリン類似物質 0.3g
・アラントイン 0.2g
・グリチルリチン酸ニカリウム 1g
〈その他の成分〉
ヒプロメロース、カルボキシビニルポリマー、プロピレングリコール、イソプロパノール、トリイソプロパノールアミン、香料
すーっと馴染むジェルタイプです。ほんの少しだけスースーする感じがあります。
3-3.アットノンの効能効果
〈効能効果〉
きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手指の荒れ、手足のひび・あかぎれ、乾皮症、小児の乾燥性皮ふ、しもやけ(ただれを除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛
アットノンにはヘパリン類似物質以外にアラントインとグリチルリチン酸二カリウムが含まれていますね。アラントインは皮膚の修復を助ける成分、グリチルリチン酸二カリウムは炎症を抑える成分です。
4.ピアソンHPとアットノンの違い
どちらも第二類医薬品であるピアソンHPとアットノン。配合されている成分を見ると、ヘパリン類似物質はどちらの商品も同じ量だけ入っていますが、アットノンにはその他にアラントインとグリチルリチン酸二カリウムが含まれていることが分かりました。
〈成分の違い〉
ピアソンHPには主成分としてヘパリン類似物質しか含まれていませんが、アットノンにはアラントインとグリチルリチン酸二カリウムの2つの成分も含まれています。
●ピアソンHPの主成分
ヘパリン類似物質のみ。
●アットノンの主成分
ヘパリン類似物質、アラントイン、グリチルリチン酸二カリウムの3種類が含まれている。
〈効能効果の違い〉
実はピアソンHPもアットノンも全く同じ効能効果を持っています。書いてある順番がちょっと違うので一見すると別の効能効果を持っているように見えますが、すべて同じです。
ただし、アットノンにはアラントインとグリチルリチン酸二カリウムも含まれているので、アットノンの方が症状がある部位の修復作用や炎症止め効果が高いと言えます。
〈価格の違い〉
●ピアソンHP
・容量 50g
・価格 1000円前後
●アットノン
・容量 15g
・価格 1200円前後
何と!ピアソンHPの方が圧倒的に量が多いのに安いんです。アットノンはピアソンHPの3分の1も入っていません。
5.ピアソンHPとアットノンはそれぞれどんな人におすすめ?
入っている成分、量、値段が違うピアソンHPとアットノンですが、それぞれどのような人に向いているのでしょうか。
5-1.ピアソンHPがおすすめな方
ピアソンHPは含まれている成分がヘパリン類似物質のみですが、お値段が圧倒的に安いのが特徴です。
・とにかく保湿効果だけを求めている方
・割安なタイプのヘパリン類似物質入りの商品を探されている方
・広範囲にしっかり使いたい方
保湿効果に関してはアットノンとの差はありませんので、乾燥肌の対策をメインにヘパリン類似物質を使いたい方はピアソンHPの方がお値段が安くとってもお得です。量が多いので全身に使いたい方でも気兼ねなく使用できます。
5-2.アットノンがおすすめな方
アットノンは量が少なくて割高にはなるのですが、アラントインやグリチルリチン酸二カリウムの2つの成分も含まれています。
・乾燥肌対策ではなく傷ややけどのあとに使いたい方
・肌荒れが気になる方
・広範囲ではなく部分的に使いたい方
乾燥肌対策に毎日使っているとあっという間になくなってしまいます。そのためどちらかと言うとピンポイントで傷跡などに使い方に向いています。また乾燥による肌荒れが気になる方もアットノンの方が向いているでしょう。
6.ピアソンHP、アットノンに関するQ&A
ピアソンHPやアットノンに関して良く頂く質問をいくつかまとめてみました。
Q.使用方法に「1日数回~」とありますが、何回を目安に使えばいいの?
A確かに「数回」とだけ書かれると非常に困りますよね。むしろきちんと回数を指定してくれた方が分かりやすいなと私も思います。数回と書いてある場合はピアソンHPやアットノンに限らずだいたい「5回~6回」を目安に使っていただくと良いですよ。朝、昼、おやつの時間、夜、寝る前で5回塗れます。
Q.クリームやローション、ジェルとで効果に違いはある?
A.剤形が違っても効果に大きな違いはありません。塗りやすさ、塗り心地など、ご自分に合うものを選んでもらえるとOKです。クリームはややしっとりした使い心地で伸びがよく広範囲に使いやすいです。ローションやジェルはさらっとしているので肌にお薬が付いているのが気になってしまう方、ベタベタする感じが苦手な方におすすめです。
Q.ピアソンHPやアットノンは顔にも使える?
A.これも非常に多くの方から質問を受けます。どちらも顔に使ってはいけない、とはなっていません。ただし目や口に入らないように気をつけて使う必要があります。
7.まとめ
ヘパリン類似物質が入っていることで有名なピアソンHPとアットノンを比較してみました。乾燥をメインターゲットとしている場合は圧倒的にピアソンHPの方がお得ですね。傷跡や炎症などが気になる場合はアットノンを選ぶと良いでしょう。
同じ成分が入っているお薬でも詳しく見てみると違いが見えてきます。市販薬は似たようなものもけっこう多いのでできるだけ自分に合うものを選んでいきたいですね。
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