「風邪ひいた」とよく言いますが、「風邪」というのは、病名ではありません。
上気道と呼ばれる鼻から喉までの気道の部分に起きた急性の炎症によって生じた様々な症状の総称を「かぜ症候群」といいます。
この「かぜ症候群」が通称「かぜ(風邪)」と呼ばれているのです。
この記事では、「かぜ症候群」についてもっと詳しく解説します。
1.かぜの症状
どんな健康な人でも「かぜをひいたことが無い人はいない」ので、かぜの症状は、非常によく知られています。
鼻水・鼻づまり、喉の痛みが多く、酷くなると発熱・倦怠感・ふしぶしの痛み等の症状も現れます。かぜを放置して重症化させると、炎症が喉を通り越して「下気道」と呼ばれている気管・気管支・肺にまでおよぶこともあります。
すると、気管支系の症状として、咳や痰が出始めます。
2.かぜ症状が起る理由
かぜは、空気感染します。
かぜをひいた人のくしゃみで飛んだ唾を介して、ウイルス等のかぜ菌が鼻から入って、上気道内の粘膜に付着します。
でも、その状態から全員にかぜにかかるとは限りません。
その時の環境や免疫力によって、かぜをひいてしまう人と、そうでない人がいるのです。
鼻から入ってきたかぜ菌が上気道に侵入・増殖するとき、通常は白血球が、かぜ菌の体内侵入・増殖するのを妨げようと頑張って、かぜ菌をやっつけてしまいます。
しかし、その時のライフスタイルや免疫力の状態によって、かぜ菌を完全にやっつけてしまうことができない場合、かぜにかかってしまうのです。
かぜ菌といわれる一般細菌以外のウイルスを紹介します。
・ライノウイルスやコロナウイルス
・RSウイルス
・パラインフルエンザウイルス
・アデノウイルス
他にも初期症状がかぜ症候群である肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラなどもあります。
ウイルスや肺炎球菌等が原因のかぜ症状は、市販の風邪薬ではなく、その細菌に効く抗ウイルス薬の投与が必要です。
ですから、かぜ症状が市販の風邪薬を2日以上飲んでもいっこうに症状が治まらないときは、早めに医師の診断を受けましょう。
3.かぜの診断
一般的に、問診や身体の所見、咽頭の状態、肺の音等によってかぜの症状を特定します。
一般的に3~5日の処方箋で症状を抑える風邪薬と抗生剤を処方します。
熱がある場合は解熱剤も頓服薬として処方します。
熱が高い場合は血液検査もします。
熱が高いということは、細菌やウイルスが強力で、身体がそれらをやっつけるために戦っている証拠ですので、血液検査も念のためにしておく医師もいます。
一般的なかぜ菌等は、抗生剤でやっつけることができるのですが、抗ウイルス薬でないと症状が治まらない場合は、血液検査でウイルスを特定しなければなりません。
もし、初診の時に血液検査をしておけば、血液検査の結果が出るのが5日程度ですから、症状が治まらない場合、再度病院に行った頃には、ウイルスが特定されて、すぐに抗ウイルス剤で治療ができるというわけです。
症状が酷いときは、初めから咽頭ぬぐい液や鼻腔ぬぐい液を採取して、インフルエンザ等のウイルス・細菌の特定を急ぐこともあります。
しかし、インフルエンザのようにすぐに特定できるウイルスもありますが、一般的には、細菌・ウイルスの特定が難しく、医師の管理下で様子を見ながら、薬の効き具合から、原因細菌を特定していく場合の方が多いともいえます。
4.かぜの治療
かぜをひいたら、温かくして水分をたくさんとって、よく眠り、食欲がなくても無理にでも食事をしっかりとって、少しでも体力をつけるよう心がけましょう。
医師の指示を守り、お薬をしっかり飲んで、できるだけ症状を抑えて、体力の消耗を押さえましょう。
熱が高いときは解熱剤を飲み、汗をかいたらすぐに着替えましょう。
咳がひどいときは咳止めを飲んで、睡眠を妨げないようにしましょう。
お薬が効いていれば、多くの場合、かぜは3日もすれば症状が楽になり、どんどん快方に向かいます。ですから、3日経っても症状が治まらないときは、医師に相談しなければなりません。
今飲んでいるお薬は、かぜの原因菌に一切効果が無く、症状は悪化するばかりです。
まとめ
かぜの多くが飛沫感染です。
かぜが流行っているときは、マスクをして飛沫感染しないよう注意をすることで、かぜにかかる予防になります。手洗い・うがいを徹底することもお勧めします。
また、かぜをひいたら、外出時にはマスクをして、咳やくしゃみや鼻水が出る場合は、ティッシュや手や服装等で飛沫感染を防ぐよう心がけましょう。
かぜを周囲にうつさないようにするのもひとつのマナーです。
また、かぜの流行る時期には、睡眠をしっかりととって、健康的な規則正しい食生活を送りましょう。睡眠不足や不規則な食生活は、免疫力の低下を招き、かぜにかかりやすくなります。