アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは、ホコリやダニや花粉といった特定のアレルゲンを原因とした、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、といった症状です。
アレルギー性鼻炎には、花粉症等のように季節的に発症する「季節性アレルギー性鼻炎」と、ハウスダスト等が原因の「通年性アレルギー鼻炎」の2種類があります。
そこで、この記事では、アレルギー鼻炎になってしまう理由や症状、対策について解説します。

1.どうしてアレルギー性鼻炎になるの?

人の身体は、鼻から空気と一緒に、空気中に浮遊する有害物質を吸い込んでしまったとき、その有害物質を体外に押し出すために、鼻水、鼻づまり、くしゃみといった防御反応を引き起こすようにできています。
しかし、身体にそんなに害が無い物質に対しても、時折間違って防護反応を引き起こしてしまうこともあります。
それがアレルギー反応です。
対して害が無いのに免疫が異常反応して、アレルギー症状を引き起こしてしまった原因物質をアレルゲンといいます。
アレルゲンと戦う抗体物質が一旦体内にできてしまうと、その物質が鼻から入ってきた途端に、一気に鼻の中は防御態勢になります。
この防御態勢の仕組みは、アレルゲンが抗体と合体すると、いくつもの化学物質を分泌し、それが血管に作用すれば、鼻腔内の骨の周りの粘膜の毛細血管を拡張させて、粘膜を腫れ上がらせて鼻づまりを起こします。
粘膜に張り巡らされている知覚神経に作用すると、くしゃみや鼻水といった症状を引き起こします。
このようにアレルギー性鼻炎は、知覚神経を介してさまざまな症状を引き起こしますので、目、耳、喉のかゆみ等にも症状が現れることもあります。

2.アレルギー性鼻炎の症状と風邪の症状の違い

通年性アレルギー性鼻炎といわれるホコリやダニ等のアレルゲンの場合は、鼻水・鼻づまり、くしゃみの症状が一般的です。
季節性アレルギー性鼻炎といわれる花粉症の場合は、鼻水やくしゃみの他にも目、耳、喉のかゆみや、皮膚の荒れや頭痛といった症状も現れます。
これらの症状は、かぜの症状ととても良く似ているのですが、鼻水が無色透明でドロッとしていない、痰が出ない、発熱や関節痛といった症状が起きないのが特徴です。
関節痛も無く、熱も出ない鼻風邪もありますが、鼻風邪の場合は、風邪薬を飲めば3~5日で治りますが、アレルギー性鼻炎の場合は、風邪薬を飲んでもなかなか治らずに長引くのが特徴です。

3.アレルギー性鼻炎の症状と風邪の症状の違い

(1)予防治療

花粉、ダニやホコリ、動物の毛…etc.をアレルゲンとする人は、それらの無い環境で生活すれば良いのです。
花粉やホコリ等を室内に持ち込まないよう、花粉やホコリまでとることができる空気清浄機を玄関や室内、寝室に置くのもお勧めです。
これらのアレルゲンに悩まされている人は、丁寧なお掃除をして、絨毯ではなく、フリーリング生活をしている人も多いでしょう。
ここでお掃除ですが、1mを20秒かけて掃除機をものすごくゆっくり動かし、隅々まで注意してお掃除するのがお勧めです。
掃除機を素早く動かすのでは、いくら頻繁にお掃除しても効果半減だと思って下さいね。
また、畳の部屋は、掃除機だけでは不十分です。
畳の内部奥深くにダニが入り込んでいて、掃除機をかけても花粉やホコリが畳の目に残っている事が多いからです。
固く絞った雑巾で拭き掃除をして、畳の中に入り込んだダニ退治のために畳用のダニスプレーもお勧めです。
ベッドのマットや布団、枕、布製ソファーも要注意です。
掃除機で念入りに吸い取るか、防ダニカバーをしたり、ダニ取りシートを置くのもお勧めです。

(2)体質改善

アレルギー反応によるアレルギー性鼻炎は、免疫の過剰反応なので、そのような反応をしない体質に改善ができれば、アレルギー性鼻炎に悩まされなくなりますよね。
でも、早々理屈通りに簡単にはいかないのが人間の身体です。
東洋医学では、漢方や針・灸の施術効果によって、免疫力の体質改善を狙った身体の自然治癒力アップを期待したものもありますが、これは人によって効果に個人差があります。
西洋医学では、アレルゲンが確定して、アレルゲンの抗原を段階的に体内に注射していくことで、アレルゲンに身体を慣れさせていく免疫療法もあります。
この方法で非常に高い効果を得られる人もいますが、効果に個人差があります。
それに、複数のアレルゲンがある場合は、全てのアレルゲンの注射をするのも、定期的な複数の注射によって、注射できなくなってしまうこともあります。
また、抗体を体内に注射することで副作用が起ることもありますので、それをたくさん注射すると、余計に副作用のリスクが高まります。
酷い場合は、身体全身に発作が起きて、全身性ショックで大変なことになってしまうこともあるのです。
だから、この治療を行う場合は、治療の効果と起りうる副作用の説明を十分に受けた上で、あなたの体質をよく知っている信頼できる医師と相談して用心深く治療を進めていく必要があります。

(3)薬物療法

市販のアレルギー性鼻炎に効くお薬や点鼻薬もありますが、長期の服用には効果が薄れたり、副作用のリスクもありますので、市販のお薬の服用は、短期間に限定するのがお勧めです。
薬物療法を行うなら、耳鼻科の医師に相談して、医師の管理の下、自分の症状に合ったお薬で、副作用や効果を試しながら症状を抑えるのがお勧めです。
とくに、季節性のアレルギー性鼻炎の場合は、鼻炎に悩まされる時期の数ヶ月前に医師に相談して治療を開始するのがお勧めです。
ただし、薬物療法も、アレルギー性鼻炎を完治させるものではなく、あくまで症状を抑え、日常生活の苦痛を解消するものに過ぎません。

(4)手術

症状が酷いのに、投薬治療に効果が期待できない人の場合は、アレルギーが起きにくい鼻の構造にしてしまう手術をする事もできます。
しかし、この効果はまだ症例も少なく、手術をしたからといって、体質改善ができるわけでも無く、絶対に効果が期待できると保証できるものでもありません。
ですから、手術については、かかりつけの耳鼻科医に相談しても、手術をするのは、大学病院等の基幹病院を紹介してもらうか、高度な知識と技術とアレルギー性鼻炎の手術経験豊富な医師に執刀してもらうのをお勧めします。

まとめ

アレルギー性鼻炎には、昨年まで平気だった人が、ある日突然なってしまうこともあるのです。
もしアレルギー性鼻炎になってしまったら、自己診断で、市販の点鼻薬やお薬で一時しのぎの対処で我慢するよりも、いち早く専門医に相談してあなたのアレルギーにあった治療を開始するのが効果的です。
アレルギー性鼻炎は、症状によっては、日常生活に支障をきたすことも多いので、アレルゲンを確定していち早く苦痛を取り除くことも大切です。
しかし、そもそもアレルギー反応とは、免疫の過剰反応が原因なのですから、体質改善にも心がけましょう。
そのためには、規則正しい生活と十分な睡眠、栄養バランスのとれた食生活といった、規則正しい食生活やストレスの無い身体に優しい生活をできるだけ心がけて下さいね。