冷え性

冷え性に悩んでいる人が多いと思います。
冷え症は女性特有の症状と思われている方も多いかもしれませんが、男性の冷え症も意外に多いのです。
ただし、男性は女性に比べて自覚がなく、対策をしている人が少ないからと目立たないだけ、ともいわれています。冷えは、血行が悪い人に起る症状ですから、男女問わず起りうる症状なのです。
ここでは、体調不良を引き起こす冷え症について解説していきます。

1.冷え症とは?

冷え症は低体温になりやすく、体調不良の原因といわれています。
「冷えが女性のもの」という認識が広まっているのは、男性に比べて女性は1日中エアコンの利いた部屋にいる人が多く、外から帰ってきた男性から見ると女性は男性よりも寒がりのように見えるからかもしれません。
また、冷えは女性特有の月経の症状を重くしたり、不妊を引き起こしたりするので、女性の方が男性よりも冷え対策に敏感だからだともいわれています。諸説ありますが、本来冷え症は男女を問わず起る症状です。ただ、男性の方が女性よりも筋肉が多いので、血流が滞りにくいともいえます。
「筋肉量と冷えは関係があるの?」と思った方のために、筋肉量が冷えに関わる原因から解説します。

(1)筋肉量と冷え症の関係

冷え症は、血流が悪くなることによって起ると先述したと思います。
筋肉量は血流に影響を及ぼすので、間接的に男性より筋肉量が少ない女性に冷え症が多いといわれているのです。
血液が全身を巡るのは、心臓のポンプ(鼓動)の力だと思っている方が多いと思います。
しかし、血液は全身を巡るので、その途中、心臓から遠い部分(手足)や、重力に逆らって流れる部分もあり、どうしても心臓のポンプ力(血圧)だけでは滞ってしまいやすい場所ができてしまうのです。
その時に心臓のポンプの強力な助っ人なってくれるのが筋肉です。重力に逆らって血液を送る部分や心臓から遠くてポンプの力が弱くなっているところでは、筋肉が伸縮することで、血液を送る手助けをしています。
だから、心臓のポンプ力では不十分な箇所に適度な筋肉がないと、その場所で血流が滞ってしまうというわけです。極端なダイエットや運動不足で、筋肉がやせ細っている人に、冷え症が多いのは、この血流の悪さが原因だったのです。
体温を調整しているのは血液です。亡くなった人の身体が、ビックリするほど冷たいのをご存知の方も多いと思いますが、血液が流れないと、人の身体は、ビックリするほど冷たい状態になります。ですから、血流が滞った場所に冷え症が起ってしまうのです。
余談ですが、リンパの流れに関しては、筋肉の伸縮のみによって全身を巡っています。
筋肉が減少して、リンパの流れが滞ってしまうと、むくみを引き起こし、血管を圧迫して血流悪化に拍車をかけます。

(2)冷え症はホルモンバランスの影響も大きい

冷え症にはホルモンバランスの影響も大きいといわれています。
ホルモンバランスが乱れてしまうと、自律神経神経も乱れてしまいます。これは、脳のホルモンの分泌を命令する部分と、自律神経をコントロールする部分が、脳の中心部分で、最も神経が集まっている間脳(まのう)の視床下部(ししょうかぶ)という場所にあって、位置的に非常に近いのです。
そのため、ホルモンバランスと自律神経のバランスは互いに影響し合う関係にあります。
自律神経は、脳を介さずに身体の様々な機能に影響を及ぼし、さまざまな働きをします。
体温調節もその働きのひとつです。人は生物学的に「恒温動物」に分類され、血液が身体中を巡ることで、自然の気温に左右されずに体温を維持できる動物です。この体温調節を自律神経がコントロールしているので、自律神経が乱れると、体温にも悪影響を及ぼしてしまうのです。
先述したように、ホルモンバランスと自律神経は密接な関係があります。つまり、自律神経が正常だったとしても、ホルモンバランスが崩れると、自律神経のバランスに悪影響を及ぼし、低体温になって冷え症を引き起こすことがあるのです。
余談ですが、、排卵や生理の時に女性ホルモンが活発になったとき、基礎体温を測ることで、排卵の時期が予測できるのは、自律神経の体温調節に影響を及ぼしているからです。

2.ストレスも冷え症悪化を招く

人の身体は、過度なストレスを感じると、身体が緊張してしまいます。
その結果、緊張した筋肉が血管を圧迫して血流を悪くさせます。本来、頸椎(首)・背骨・腰椎(腰)という頭と骨盤をつなぐS字カーブの骨が上手い具合に弾力を持たせながら、頭の重さを分散させて、全身で頭の重さを支えています。
それが、姿勢が悪くなると、頭の重心が前に傾いて、首だけで頭を支えなければなりません。
その首を支えるために、首回りの筋肉だけでなく、それを支えるために肩や背中の筋肉まで手伝います。頭は大きな西瓜1個ほどの重さがあるのに、頸椎の小さな5つの骨だけで支えなければいけなくなるので、筋肉は必死で首を支えるのです。つまり、無意識のうちに肩や背中の筋肉に力が入ってしまうのです。
こんな感じで、パソコン作業やスマホを長時間見ていたりすると、長時間の筋肉の緊張が続きます。血管を圧迫し、筋肉のコリ(疲労)が生じて、その苦痛を脳は「ストレス」だと感じます。身体の痛みも精神的な辛さも、生物学的には、同じように身体の緊張を引き起こしますので、脳にとっては、精神的苦痛も肉体的苦痛も同じストレスなのです。
筋肉の緊張は血流の悪さを引き起こします。その結果、血流悪化を引き起こし、冷え症は悪化するのです。
ですから、肉体的ストレスも精神的ストレスも、冷え症の大敵なのです。

3.栄養バランスの乱れも冷え症を引き起こす

過激なダイエットは、栄養バランスの乱れを引き起こします。
体内のホルモン物質は、年齢とともに減少していって、食事で補わないといけないものもけっこうあります。ですから、同じ生活をしているのに、20代前半くらいまでは平気だったものが、年齢を重ねる毎に様々な体調不良を引き起こしているように感じている人が多いと思います。栄養バランスの乱れは、ホルモンバランスの乱れも引き起こします。
例えば、ストレスによって、セロトニン不足となれば、睡眠に不可欠なメラトニンの現象を引き起こし、睡眠に悪影響を引き起こします。人は眠っている間に、ホルモン物質のバランスを整え、身体のメンテナンスを行います。
その睡眠に悪影響を与えては、身体のメンテナンスも不十分ですから疲労も蓄積、ホルモンバランスも自律神経のバランスも乱します。十分な睡眠は、脳内の不要なストレス物質も除去してくれます。
つまり、睡眠不足はストレス悪化を招き、血流悪化を導くようなものなのです。
栄養バランスの乱れも、間接的ではありますが、冷え症を引き起こしているのです。

まとめ

冷え症の原因を解説してきました。
冷え症の改善には、ゆっくり温めのお風呂(38℃~40℃未満)に肩くらいまで浸かって身体を芯から温めるのがおすすめです。温かいお風呂は、身体をリラックスさせるとともに、温まった血液を全身に巡らせて、冷えを解消させてくれます。
また、ストレスの少ない生活を心がけ、ときには大きく身体を動かしてリラックスさせましょう。肩や股関節、骨盤等、大きな関節を積極的に動かすとリラックスしやすくなります。大きな伸びや深呼吸も効果的です。
また、栄養バランスのとれた食事をして、十分な睡眠に規則正しい生活、といった、身体に優しい生活を送りましょう。