生理痛

毎月やって来る生理に伴う腹痛・腰痛・下痢・頭痛等様々な痛みで悩まされている女性も多いでしょう。ここでは、生理痛の原因と対策について詳しく説明しましょう。

1.生理のしくみ

女性の身体が男性の身体と最も違うところは、妊娠・出産ができることです。
毎月定期的にやって来る排卵の時期。子宮は受精卵がやってきたときにちゃんと着床できるよう、準備万端整えて待っているのです。
排卵後に精子と結合した受精卵がやってきて子宮に着床した状態を妊娠というのですが、排卵後毎回妊娠するするわけではありません。そのため、女性の身体は、妊娠しなかったときには、翌月の妊娠に備えて、不要になった子宮内膜を剥がすようにできています。
子宮は、子宮内膜を剥がすために大きく伸縮します。そして、子宮内膜が子宮から剥がれ落ちる時に出血し、血液と一緒に子宮内膜を体外に押し流すのです。
この子宮を伸縮させるのは、「プロスタグランジン」というホルモンに似た物質です。

2.生理痛の症状

生理痛の症状別にご紹介しましょう。

(1)腹痛・腰痛

不要になった子宮内膜を剥がすのに不可欠なプロスタグランジンですが、過剰に分泌されてしまうこともあります。プロスタグランジンが多すぎると、子宮の伸縮が強すぎて、下腹部痛が起ります。
また、プロスタグランジンが子宮内膜と一緒に体外に全部排出されずに滞っても下腹部痛が続きます。
さらに、強すぎる子宮の伸縮は、子宮周りの血管が圧迫されて血流が悪くなります。
子宮は骨盤で支えられていますので、子宮周りの血流が悪くなると骨盤周辺に悪影響を及ぼし、痛だるい感じの腰痛を引き起こします。血流が悪くなって起ってしまう症状は、血流を良くするために患部を温めたり、軽い運動をすると効果的です。血流が良くなって、痛みが緩和します。
血流を良くすることで、血液と一緒にプロスタグランジンを体外に排出できますので、腹痛も緩和できます。
でも、痛みが酷いときは無理をせず、痛み止めを服用して、少し横になっているのもおすすめです。

(2)下痢・吐き気・食欲不振

少し便秘気味の人の場合は、「生理が多くなって生理痛があるときは、お通じの調子がよくなるかな?」と思うような体験をしたことがある人も多いようです。
これは、プロスタグランジンの働きです。
プロスタグランジンが多すぎると、胃腸の働きにも作用してしまうこともあります。少し便秘気味の人には嬉しい兆候ですが、便秘に無縁の人には、下痢や軟便を引き起こして、生理痛と重なってさらに苦痛を伴うことになる場合もあります。
また、プロスタグランジンが胃に働きかけてしまうと、食欲がなくなったり、吐き気がしたりすることもあります。胃腸に症状が出てしまう人は、できるだけ胃腸に優しい食事を心がけましょう。吐き気が酷い人は、食事の量を減らし、少しずつでもよいので、食べられるとき食べるように心がけて下さい。

3.生理痛を和らげる対策

お腹のツボ押し

生理痛に効くツボをご紹介しましょう。

・気海(きかい): 生理痛の緩和や生理不順・便秘・下痢の改善

おへその下で指2本分の距離のところにあるツボです。
片方の手の人差し指(第一関節)でおへそを押さえ、もう片方の手の人差し指と中指をくっつけて中指の第一関節の部分辺りが気海のツボがあります。
両手の爪の位置を合わせるのがコツです。

・関元(かんげん):生理痛の緩和や生理不順・腰痛・冷えの解消

おへそに人差し指(第一関節)を当て、人差し指から小指をくっつけてお腹にあて、小指の位置に、小指の爪ともう片方の手の人差し指の爪が向かい合うように人差し指をあて、中指の位置と、おへそのから垂直にまっすぐ伸ばした線の交わる点が関元です。

・中極(ちゅうきょく):生理痛の緩和や生理不順・膀胱のトラブル改善

おへそに人差し指(第一関節)を当て、人差し指から小指をくっつけてお腹にあて、小指の位置に、小指の爪ともう片方の手の人差し指の爪が向かい合うように人差し指をあて、薬指の位置と、おへそから垂直にまっすぐ伸ばした線が交わる点が中極です。
関元よりも指ひとつ下といった感じです。

・帰来(きらい):生理痛の緩和や婦人科系のトラブル・膀胱の改善

中極から指3本分左右に離れた位置が帰来です。

(2)生活習慣の改善

生理痛の原因は、過剰なプロスタグランジンと血行が悪くなることです。
プロスタグランジンは、ホルモン物質のような身体の組織に影響を与る物質です。だから、ホルモンバランスが整い身体が健康になると、プロスタグランジンの分泌も正常に整いやすいのです。また、血行を良くする身体作りに励む必要があります。
そのため、生理痛にお悩みの方は、まずは生活習慣から見直してみましょう。

・規則正しい食生活

ホルモンバランスを整えるには、規則正しい生活をすることが大切です。
プロスタグランジンのようなホルモン物質等は、眠っている間作られ、そのバランスも整えられます。ですから、早寝早起きと規則正しい生活、そして適度な運動、これが身体に最も優しい生活です。食事も規則正しく栄養のバランスのとれた身体に優しい献立がおすすめです。

・冷え対策はお風呂が一番

また、血行を良くするには、身体の冷えを改善することも大切です。
生理中は身体を温める食材を積極的にとることもおすすめですが、冷え性を改善するのは、お風呂が一番効果的です。お風呂の時に少しぬるめのお湯(38度~40度未満)に10~15分程度肩までゆっくり浸かりましょう。首の後ろに太い血管が集中しているので、首まで浸かると、温められたポカポカの血液が一気に頭部に流れ込み、身体が十分に温まる前にのぼせてしまいます。
だから、お湯に浸かるのは肩までにして、首の大きな血管を間接的に温めるのが効果的なのです。
ただし、お風呂に浸かっている時間の「10分~15分」というのはあくまで目安ですから、のぼせるようでしたら自分の体調に合わせて時間を調節して下さい。

まとめ

毎月訪れる生理は憂鬱なものですが、妊娠や女性ホルモン・美容のためには欠かせません。
年齢を重ねて閉経の年齢になるまで、上手にお付き合いしていきましょう。身体に優しい生活は、生理痛を緩和するだけでなく、身体の中から綺麗になって、自分にとって一番美しい健康美もつくってくれます。
ただし、生活に支障をきたすほどの酷い生理痛の場合は、痛み止めで我慢せずに婦人科の医師に相談しましょう。