PMS(月経前症候群)

生理の1週間ほど前から、「もうすぐ生理かな?」といった生理前の予兆のような体調不良が習慣になっている女性が非常に多いようです。
この生理前の予兆ともいえる体調不良をPMS(月経前症候群)といいます。
ここではPMSの症状や改善策を詳しく紹介します。

1.PMSの症状とは?

PMSは月経前症候群といって、個人差はありますが、だいたい生理前1週間くらいから始まります。
その症状は以下のように本当に様々です。

・胸(乳房)が張る、とか痛みがある
・むくみ
・吹き出物ができる
・便秘・下痢になる
・頭痛
・腰痛
・関節痛
・情緒不安定や注意散漫・イライラ・怒りっぽい
・食欲の変動で体重が増える

これらの症状は、一般的には生理が始まると、まるでここ数日の苦痛が嘘のように良くなってしまいます。
しかし、たまにこれらの症状が、生理の随分前から2週間近くも続く人がいます。これでは生活に支障を来たすので、少しでも苦痛を和らげるために、体質改善が必要となります。

2.長引くPMSの改善方法とは?

(1)食事療法

PMSの症状が長引く原因として、過激なダイエットによる栄養不足や、栄養バランスの乱れが関係しているといわれています。ストレスやホルモンバランスの乱れも大きく影響するといわれています。
まず、ホルモンは寝ている間に作られ、バランスも整えられるといわれています。そこで、睡眠に必要な栄養素を積極的にとるのがおすすめです。
また、強いストレスは幸せホルモン(セロトニン)不足を引き起こします。
強いストレスを脳が感じた時に分泌されるストレスホルモンは、身体に悪影響を与えます。そのため、脳は、幸せホルモンを分泌して、ストレスホルモンを中和し消滅させる働きを促します。
しかし、昼間のストレスに幸せホルモンを多量に消費してしまったら、睡眠に悪影響を与えてしまいます。
実は、幸せホルモンは夜になると睡眠に欠かせない睡眠ホルモン(メラトニン)に変身するのです。だから、昼間のストレスで幸せホルモンが減少していると、睡眠に悪影響を及ぼしてしまうというわけです。
そこで、幸せホルモンが不足するなら、食事から幸せホルモンを多量に作る原料を補給すれば良いじゃないか、という考えに至ります。そうなると、幸せホルモンの原料となるトリプトファンや、幸せホルモンの体内における合成に必要なビタミンB6やナイアシンを積極的にとる必要があります。
女性ホルモンを活性化するためにもビタミンB6や亜鉛が効果的だといわれています。
そのため、これらをいっぺんにとることのできる画期的な献立が、ごはんに、シジミや海藻の入ったお味噌汁、焼き魚、卵焼き、ゴマ豆腐、納豆といった、和風の朝食です。朝ごはんは、ごはんにお味噌汁の和食がおすすめなのです。
また、トリプトファンは必須アミノ酸の一種なので、トリプトファンを効率的に体内に取り入れるには、9種類の必須アミノ酸を全部バランス良くとる必要があります。
そのため、結局は睡眠や幸せホルモン増加のためには栄養バランスのとれた食生活が大切なのです。

(2)1日3食はPMSを悪化させることもある?

ただし、1日3食決まった時間にとるという規則正しい食生活は、PMSが長引きやすい女性には不向きだという説があります。PMSの改善には、血糖値の安定が最も大切です。血糖値が安定していないと、アドレナリンの作用で、精神が不安定になりやすいからです。
とくにPMSが長引き、精神的な症状が出やすい女性は、1日3食では、血糖値の上下が激しいので、1日5食前後、炭水化物を適度に、そして栄養バランスを考えた少量の食事をこまめにとるのがおすすめです。炭水化物の不足にはとくに注意が必要です。
炭水化物不足は、アドレナリンを放出させますので、精神の安定を妨げるからです。

(3)PMS対策のために控えた方が良い食事

・塩分

塩分は、むくみ防止になります。
しかし、減塩献立は味気なく、食事をする楽しみも減るというものです。これが大きなストレスになっても、PMSの悪化に繋がりますので、塩分の代わりにスパイスを利用する等の工夫が必要です。

・砂糖

砂糖は、とりすぎると血糖値の低下を招き情緒不安定を招きます。

・カフェインやアルコール

カフェインやアルコールのとりすぎは、精神を不安定にしたり、胸の張りや緊張、倦怠感、イライラを悪化させます。また、カフェインもアルコールも睡眠に悪影響を与え、ホルモンバランスを見出す可能性もありますので注意しましょう。
ちなみにカフェインは、コーヒーや紅茶だけでなく、お茶やチョコレート、栄養ドリンクにも含まれていますので、杜仲茶や麦茶がカフェインフリーで安心です。

3.PMSの婦人科治療

PMSの症状が長引き、日常生活に支障を来たすような場合は、迷わず婦人科の医師に相談しましょう。
一般的にはピルを処方されます。ピルには、妊娠している時に女性の身体に分泌される女性ホルモンを少量含んでいるので、身体を妊娠している時のホルモンバランスに近い状態に導きいてくれます。その効果によって、避妊薬として広く知られています。
排卵を抑制してくれるので避妊ができるというわけですが、排卵抑制効果はPMSや生理痛の緩和にも効果があるのです。
ただし、ピルの効果には個人差があり、また、3ヶ月くらい飲み続けないと効果が分からないので、医師の指導の下、しっかりと体調管理された状態で服用しなければなりません。
飲む量を間違えると副作用もありますので、ネットの個人輸入等で安価で自己対処をするのはおすすめできません。

4.PMSにはストレスが大敵

(1)ストレスには精神的ストレスと肉体的ストレスがある

PMSはホルモンバランスの乱れによって生じるといわれていますので、ストレスが大敵です。ストレスには、精神的なストレスもありますが、肉体的なストレスもあります。
例えば、生理痛が酷い場合は、肉体的ストレスです。だから、我慢しすぎるのはPMSの悪化に繋がります。
食事療法で甘いものを我慢することが、あまりにも大きなストレスになるのであれば、立派な精神的なストレスなので、PMSの食事療法をしているのに、却って逆効果ということもあります。
PMSが長引きやすい人は、カモミールやハーブティを飲んで、毎日をできるだけリラックスして過ごすように工夫しましょう。

(2)周りの理解のなさがPMSを重くする?

また、周りの理解も必要です。
PMSが長引く人の場合、体調不良が長引くのですから、社会的にマイナスのイメージを持たれやすいでしょう。イライラやヒステリーや怒りっぽい等の精神的な症状は、病気ではなく、性格だと思われてしまうこともあります。体調不良によるものは、身体が弱いとか、怠け者だとか、そういったマイナスイメージに繋がります。
このような周囲のマイナスイメージや自分への苛立ちが、かなり大きなストレスとなって却って症状を重くしてしまうこともあります。
長すぎるPMSは病気です。医師に相談して、周囲の理解を求めることも大切です。

まとめ

PMSが1週間以上続くようなら、我慢しないで、婦人科の医師や漢方医、漢方薬局に相談してみましょう。最近は、産婦人科の不妊治療で諦めかかった人が、漢方薬で妊娠・出産に至ったという話もよく耳にします。
全ての人に当てはまるかどうか分かりませんが、不妊治療に漢方が効くのなら、PMSも漢方は効果が期待できるといえます。食事療法も、食材だけでは難しい場合も、漢方薬やサプリメントの力を借りてPMSが長引く体質の改善を試みてみるのもひとつの方法です。
ホルモンバランスを整え、ストレスから身を守り、健康的な身体に導いていくことは、健康的な身体になることで、身体全体から、PMSを改善していくことになるのです。