骨粗鬆症

「最近身長が低くなった」とか「背中が曲がってきた」とか「腰が痛い」なんて思ったら、それは骨粗鬆が原因の骨折のサインかもしれません。
骨粗鬆症によって、気がついたら骨折をしていてそのまま寝たきり生活突入なんてこともあるのです。
この記事では、骨粗鬆症について詳しく知って頂くために解説します。

1.骨粗鬆症とは?

(1)骨粗鬆症ってどんな病気?

骨粗鬆症とは、骨がスカスカになる病気です。
例えば、健康な人の骨がロールパンだとしたら、骨粗鬆症の人の骨は中がスカスカのお麩のようなものです。
また、骨粗鬆症の患者さんは、男性よりも女性の方が多く、しかも閉経後の女性に多いのが特徴です。

(2)骨粗鬆症で骨がスカスカになる理由とは?

健康な骨は、常に新陳代謝を繰り返しています。
骨の新陳代謝は、骨芽細胞(こつがさいぼう)と破骨細胞(はこつさいぼう)が一手に担っています。骨芽細胞とは、字からわかるように、骨を生み出している細胞です。破骨細胞とは、こちらもその字からわかるように、古い骨をせっせと破壊している細胞です。健康な骨は、破骨細胞が骨を壊して「ここ壊したからよろしく!」と骨芽細胞に合図を送って「任せって!」といった感じで骨芽細胞もせっせと骨を生み出し形成します。
このように、健康な骨の状態では、破骨細胞と骨芽細胞が上手い具合に連携をとって、バランス良く壊しては作っていっているのです。
ところが、この破骨細胞と骨芽細胞の連携が上手くとれずなくなってくると、破骨細胞ばかりが大活躍して骨を壊し、骨芽細胞の骨形成作業が間に合わなくなるのです。そのため、骨が壊されすぎてスカスカ状態になっていくというわけです。

2.どうして50代から骨粗鬆症になりやすくなるの?

(1)破骨細胞と骨芽細胞の連携が壊れるのはなぜ?

どうして、加齢に伴って、仲良しだったはずの破骨細胞と骨芽細胞の連携ができなくなってしまうのでしょう。
それは、破骨細胞と骨芽細胞の伝達役を担っているエストロゲンという女性ホルモンが加齢とともに減ってしまうのが原因です。男性にも女性ホルモンは存在しています。エストロゲンは、女性らしい身体をつくる働きが多いので、「女性ホルモン」と呼ばれています。
しかし、女性ホルモンには、そういう働きばかりではなく、骨を作ったり、頭髪のハリやコシを整え、体臭をコントロール、若々しい肌を保つ等の働きもあるのです。
ですから、男性の身体にも女性ホルモンが必要なだけ存在します。男女ともに体内のホルモンは50歳を過ぎた頃から、ホルモン減少の影響が身体に表れ始めるのです。
その結果、50代を堺に男女とも少しずつ骨密度の減少は始まります。男性は、そのまま緩やかに減少していくのですが、女性は閉経後の女性ホルモンの極端な減少で、骨粗鬆症による骨折が目立ち始めるのです。
それは、骨は急激にもろくなっているのに気付かずに、骨がもろくなる前と同じ動きをするからです。

(2)骨粗鬆症が女性に多いのはどうして?

女性は閉経すると今までたくさんあった女性ホルモンが一気に減少します。
その減少度合いが急激すぎて、身体がついていかずに更年期障害という症状を引き起こしてしまうことはよく知られています。
破骨細胞と骨芽細胞の連携も同じです。今まで伝達役を担っていたエストロゲンが一気に減少してしまうので、破骨細胞は「骨壊したよ~」と伝える相手(エストロゲン)が急に少なくなってしまうのです。伝える相手を見つけ損なった破骨細胞は、、初めは戸惑うものの待ちくたびれて、「まあいいや」とそのまま働き続けるのです。
そして、少しずつ破骨細胞は骨を壊した事をエストロゲンにちゃんと伝えて作業することを怠ってしまいます。
こうして、少しずつ破骨細胞と骨芽細胞のコミュニケーションが取れなくなって、骨芽細胞の働きが骨芽細胞の働き(骨が壊されていくスピード)に追いつかなくなってしまうのです。その結果、女性は急に骨がもろくなったように感じて骨粗鬆症による骨折が目立ちます。

(3)骨粗鬆症に男性がなりにくいのは本当?

一方、男性も50歳くらいからエストロゲンが減少していき、お肌や髪の毛と一緒に骨ももろくなりがちです。
しかし、それは徐々にゆっくりと減っていくので、破骨細胞と骨芽細胞の連携が悪くなるのもゆっくりなので、男性は骨粗鬆症になりにくいと思われがちです。しかし、男性だって年齢とともに、女性よりはずっとゆっくりとしたスピードで、少しずつ骨密度が減少していきます。
長生きすれば、それだけ骨密度は低下して、骨密度の低下が骨粗鬆症の危険値になってしまうこともあるのです。

3.骨粗鬆症に極端になりやすい男性もいる?

骨粗鬆症が女性に目立つのは、閉経によってエストロゲンが急激に減少して、若くして骨密度の急激な低下してしまうからです。
先に、男性の骨密度低下は年齢的にも女性よりもずっと遅いと解説しましたが、男性にも女性同様、60代で骨粗鬆症になる人はいます。どういう人がなりやすいのかというと、まずは、下記の病気を長く患っていて、その治療のために長期間ステロイド剤を使用してきた人です。

<ステロイド剤を長期に使用する病気>

・腎臓病
・膠原病
・内分泌の病気
・アレルギー疾患
・呼吸器系疾患
・消化器系の病気
・血液の病気
・神経・筋肉の病気

また、統計学的に喫煙習慣が長い人、過度の飲酒傾向にある人は、骨がもろくなる傾向にあるというデータがあります。

4.骨折しやすい人

骨粗鬆症かどうかに関わらず、加齢に伴って普通に骨はもろくなります。そんな身体の状態で、骨粗鬆症ではなくても骨折しやすい人がいます。
骨折することで寝たきりになる原因にもなりますので、健康寿命を伸ばすためにも、50歳以上で、骨折しやすい人はどういう人かを知っておきましょう。

(1)痩せている人

骨を守っているのは筋肉です。
極論ですが、骨がもろくなっていても、筋肉がしっかりと骨を守って、骨にかかる負荷を減少させている人は骨折しないのです。
だから、筋肉の少ない痩せている人は、骨に直接負荷がかかって骨折しやすいといえます。

(2)家族に骨折した人がいる

家族に骨粗鬆で股関節を骨折した人がいる人は、骨折しやすいといわれています。
骨粗鬆症が遺伝するわけではありませんが、生活の仕方によって、食事の好みや好き嫌いが似てくるので、の体質的に骨粗鬆になりやすい体質だったり、骨折しやすい体質だったりします。

(3)過去に骨折したことがある

骨折は繰り返すといわれています。
過去に骨折した場所は、そのつなぎ目に極端な負荷がかかると折れやすくなってしまうのです。

まとめ

いかがでしたか?
50歳を過ぎたら骨密度検査をして、あなたの骨の状態を知ることから始めましょう。
検査の結果、骨密度が基準値よりも低ければ、医師が薬物治療であなたの骨密度の管理をしてくれます。
一般的に、骨粗鬆症が原因の痛みで病院に駆け込んでくるのは、60代後半以上の患者さんが多いといわれています。気付いたときには、骨折して、そのまま車椅子や寝たきり、という悲しいことになってしまうこともあります。
ですから、50代の骨が健康なときから自分の骨の状態に気をつけましょう。
また、筋肉は72日で生まれ変わることができますので、50代になったら、あるいは、気付いたときから適度な運動を心がけましょう。既に60代後半の危険な年齢にさしかかってしまった人でもまだまだ大丈夫です。
身体に痛みがない場合は、軽いお散歩程度のウォーキングがお勧めです。
しかし、足腰が弱って痛みを伴っていたり、身長が縮んだり、腰痛のある人は、軽い散歩でも痛みを伴う場合は控えなければなりません。筋肉をつける前に、骨粗鬆症が原因の骨折をしたり、滑狭窄症やリュウマチ等の悪化で、車椅子生活を自ら招いてしまうことになりかねません。
そのような方には膝関節に腰にも背骨にも負担をかけない水中運動がお勧めですよ。