「たかが肩こり」と思われがちですが、肩こりには、単なる筋肉疲労の肩こりと、病気が隠れている肩こりがあります。
頭痛やめまい・胸焼け・吐き気・耳鳴りやめまいといった他の症状を伴う肩こりは、何か別の病気のサインであることもあります。
身体の病気だけでなく、「隠れウツ」等の心の病のサインである可能性もあるのです。
過度なストレス環境にいる方は注意が必要です。
そのため、あまりにも酷い肩こりが長く続く場合、肩こり以外の他の症状がある場合は、肩こりと侮らず、整体院や針灸に行くのではなく、医師に相談することをお勧めします。
でも、この記事では、通常の肩こりの原因とその対処法をご紹介します。
1.肩こりの原因は筋肉疲労
病気が原因の肩こり以外の一般的な肩こりは、筋肉疲労です。
実は、4足歩行の動物は肩こりにはならないのをご存じですか?
人間は進化の過程で2足歩行となり、知能が発達して、道具や言葉を使うようになり、どんどん脳みそが大きくなっていきました。
成人の脳みその重さは、西瓜1個分、約5kgといわれています。
5kgもの脳を支えるために、人間の背骨はS字カーブを保つことで、脳の重さを全身に分散させて支えているのです。
(1)頭の重さを背骨のS字カーブが分散している
だから、理想的なS字カーブを保つには、正しい姿勢で歩かなければなりません。
ちなみに正しい姿勢とは、頭頂部から糸でつるされた気分になって、顎を引き、肩を落とし両肩の上に手を置いて、息を吐きながら両手を肩からわきを通って骨盤の角までスーっと落としていったときの姿勢です。
ちなみに、この姿勢を作る過程で、息を止めておへそとお尻の穴に力を入れることを意識するのがコツです。
壁に踵と頭を着けてこの方法を行なえば、踵とお尻と頭が壁につく状態になるはずです。
ならない人は、背骨や骨盤が歪んでいて、理想的なS字になっていないことになります。
(2)姿勢の悪さから来る肩こりの仕組み
猫背の場合は頭が前に傾くので、頭の重さの重心が前に傾き、5つの小さな骨の集まりである頸骨(首の骨)だけで、西瓜を支えているようなものです。
パソコンの前に座っての長時間のデスクワークや長時間スマホの画面を見続けていると、普段は猫背でない人でも、画面に顔を近づけ頭の重心が前に傾き、首に頭の重さが一気にかかってしまうのです。
しかし、骨の周りには、何層もの筋肉があり、骨を頑丈に支えています。
首周辺の上半身はとくに、何層もの筋肉が重なり合っています。
まず、首周りの筋肉と首から肩に繋がっている筋肉を、背筋と胸筋で、サスペンダーのように支えています。
頸骨だけに頭の重みが集中してしまった場合、首を支えるために、首と首から肩までの筋肉だけで頑張ろうとしますので、肩こりが起き始めます。
しかし、首や肩の筋肉が限界をきたすと、サスペンダーのようになった背筋と胸筋が頑張ります。
頭の重心は前に傾いていますので、胸筋よりも背筋の方に負荷がかかります。
その結果、肩コリの痛みは、背中へと広がっていくのです。
さらに、首の筋肉は後頭部の筋肉にも繋がっていますので、緊張性頭痛を引き起こすこともあります。
これが、肩こりの筋肉疲労の仕組みです。
つまり、正しい姿勢で頭の重心が背骨のS字カーブで上手に分散されていれば、首や肩・背筋の余分な負荷がかからず、肩こりにはならないのです。
(3)枕の高さがあっていなくても肩こりになる
また、寝ている間の枕の高さがあっていくて、首が枕に上手に支えられずに浮いた状態で眠っている人は、知らず知らずのうちに、首が緊張したまま眠っていることになります。
この状態では、ぐっすり眠れないので、睡眠中の筋肉疲労も回復しづらい状態となり、翌朝まで首のコリが残り、肩こりに発展していくこともあります。
朝起きた時に首を寝違わしていたり、肩に力が入っているような疲労感が残っている人は、枕の高さを調節してみましょう。
2.肩こりが起りやすい環境とその理由とは?
猫背でなくても肩こりは起ります。
ずっと同じ姿勢でいたり、何かに集中した状態が長時間続くと、長時間交感神経が活発になり、緊張状態が筋肉をこわばらせます。
筋肉が緊張すると、血行を悪くします。
人の身体は、血液によって身体中の細胞に酸素と栄養分を運び、細胞の排泄物は毛細血管を通してリンパ管に排泄されます。
筋肉が緊張して血流を悪くさせては、筋肉細胞に十分な酸素や栄養分が行き渡らなくなります。
さらに、リンパ管は血液のように心臓のような原動力はありません。
リンパ液は、リンパ管を筋肉の伸縮によって送られているのです。
ところが、交感神経が活発になったままで筋肉が緊張しっぱなしだと、筋肉が十分に伸縮しなくなるので、リンパの流れが悪くなります。
血流もリンパの流れも悪い状態では、細胞の代謝が上手く行なわれなくなって、筋肉細胞も疲労しやすくなってしまうのです。
その結果、肩こりになりやすい体質になってしまいます。
この状況は、自律神経のバランスも乱れてくるので、睡眠の質にも悪影響を与え始めます。
ちなみに人の身体は、睡眠中に心身のメンテナンスが行なわれますので、心身の疲労感が残り、身体のあちこちで不調が起こり始めるのです。
ストレス過多な環境にさらされても、ストレスから来る緊張状態が、筋肉を緊張させて筋肉疲労を引き起こしやすくなるので、ずっと同じ姿勢のままでいる緊張状態と同じ状態に追い込まれます。
どうして同じ状況に追い込まれるかというと、ずっと同じ姿勢でいる肉体的苦痛も、ストレス過多の精神的苦痛も、脳は同じストレスと感じて、ストレスホルモンを分泌し、同じように筋肉を緊張させるからです。
このような状況下にいる事が多い人は、筋肉をリラックスさせる方法、あるいはストレス発散方法を日頃から探すよう心がけましょう。
3.肩こり防止方法
肩こりは、首・肩・背中の筋肉のコリですから、これらの筋肉のストレッチが効果的です。
(1)ストレッチ
・首:首を回したり、首を左・右・前・後ろに15秒ごと動かします。
・肩:肩を上げてストンと落としたり、肩の関節を大きく回したり、深呼吸をしたり、両手を大きく動かす動作が効果的です。
・背中:両手を組んで、手の甲を向こう側にして思いっきり前に伸ばしたり、手の甲を下にして思いっきり上に伸ばしたりすると、背中の背筋が伸びている感じがします。
(2)大きな関節を動かす
基本的に、人の身体は大きな関節を大きく動かすとリラックスできるようになっています。
ですから、肩こりは肩の関節を大きく動かす動作が効果的なのです。
同じ姿勢をずっとしていると、骨の歪みが生じます。
とくに、骨盤の歪みは背骨のS字効果を妨げますので、1日に数回、腰を大きく回して骨盤の歪みを整えましょう。
また、足を組んだり、横座りをしたりすると足を組むと骨盤の歪みを助長しますので気をつけましょう。
座るときは、骨盤が後ろに傾斜しないように、背中にクッションを置いて座りましょう。
座っているときも背骨のS字カーブを意識するよう心がけるのがお勧めです。
4.姿勢意外にも肩こりの原因がある
比較的大きめのネックレスや重たい鞄を持つ事が多い人、なで肩の人も肩こりになりやすいといわれています。
大きなネックレスや鞄の重さによって肩こりが起るのは、一方の首や肩にだけ負荷がかかることによって、バランスをとろうと、多くの筋肉が使われます。
その結果、骨の歪みや骨盤の歪みに繋がり、S字カーブが崩れるので、肩こりになりやすくなるのです。
なで肩の人の場合は、サスペンダー効果が薄く、なで肩であるために、猫背になると首や肩にかかる筋肉の負荷が大きくなりやすいためです。
心当たりのある人は、日頃から姿勢を正して歩く習慣をつける必要がありますが、姿勢を正すのにも、適度に鍛えられた背筋や腹筋が必要ですので、初めはきついかもしれませんが、日々の努力は必ず稔ります。
肩こりから解放されるためにもチャレンジしてみてください。
まとめ
一般的な肩こりについてその原因や対策について解説してきました。
肩こりは、「単なる筋肉疲労」と侮ってはいけません。
肩こりも酷くなると、背筋の疲労まで広がって、背中がうずくようになります。
筋肉の緊張から、緊張性頭痛を引き起こす事もあるのです。
全身の筋肉は繋がっているのです。
そうなる前に、酷い肩こりは、整体やマッサージに通って筋肉を癒しましょう。
また、適度な運動をして体幹を鍛えることで、筋肉疲労を起こしにくくなります。
十分な睡眠と、規則正しい食生活で健康な筋肉疲労を起こしにくい身体を作り、姿勢を正しく維持して肩こりの悩みから解放されましょう。