虫刺されにステロイドが入った市販薬を使うのはあり?
肌の露出が増え虫が発生するこれからの季節、虫刺されのケアは悩みの種です。市販のステロイド薬を適切に活用し、炎症を抑えましょう。
虫刺されの薬は3種類の主成分がある
一口に虫刺されといっても、かゆみ、炎症、化膿などその症状は様々です。虫刺され用のローションやクリームに配合されている成分によって、どの症状に効くかが違います。
ステロイドは虫刺されによる炎症に効果があります。炎症が発生するのは、その部分で体内から異物を追い出すための免疫反応が過剰に働いているのが原因です。ステロイドはこの過剰な免疫反応を抑えます。
抗ヒスタミン剤は痒みを鎮静します。花粉症薬のようなアレルギーの治療薬によく使われる成分です。
抗生物質は化膿を抑える働きがあります。膿が出たりジュクジュクした状態が長い場合には使用した方が良いです。
虫刺されの症状によってこの3つの成分のどれが含まれている市販薬を選ぶかが変わってきます。ステロイドを必要以上に避けると炎症を抑える市販薬は選べなくなってしまいます。
ステロイドは危険ではない
一般的にステロイドは危険というイメージが強いです。「ステロイドが入っている薬は使わない」という方も多いと思います。
しかし、ステロイドは炎症を抑える役割があり、市販薬に含まれる他の成分だと代替できない効果です。炎症による症状なのに抗ヒスタミン成分しか入っていない市販薬をいくら塗っても効果がありません。
ステロイドは使用方法を守れば他の薬に比べても特別危険ということはないのです。用法用量を守らなければ危険なのはどの薬でも同じです。ただし、虫刺され用のステロイド塗り薬の場合、直接肌に触れるため扱いは慎重にする必要はあります。購入・使用前に、よく注意書きを読みましょう。
ステロイドの強さは5段階
ステロイドは5段階の強さがあり、効き目の強さを塗る部位や症状によって使い分けます。小児には弱いステロイド剤を使うのが一般的です。ステロイドと一口に言ってもいろいろな成分があります。
薬の外箱を見ても、パッと見5段階のうちどの強さかは判別できないことが多いです。使用部位、対象年齢などは書いてありますが、一応下記に5段階の強さと各段階の成分を記載しておくので参考にしてください。
強さの段階 | 成分名 |
Ⅰ群 Strongest(最も強力) | クロベタゾールプロピオン酸エステル ジフロラゾン酢酸エステル |
Ⅱ群 Very strong(非常に強い) | モメタゾンフランカルボン酸エステル ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル フルオシノド ベタメタゾンジプロピオン酸エステル ジフルプレドナード アムシノニド ジフルコルトロン吉草酸エステル ヒドロコルチゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル |
Ⅲ群 Strong(強い) | デプロドンプロピオン酸エステル デキサメタゾンプロピオン酸エステル デキサメタゾン吉草酸エステル ベタメタゾン吉草酸エステル べクロメタゾンプロピオン酸エステル フルオシノロンアセトニド |
Ⅳ群 mild(中等度) | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル トリアムシノロンアセトニド アルクロメタゾンプロピオン酸エステル クロベタゾン酪酸エステル ヒドロコルチゾン酪酸エステル |
Ⅴ群 weak(弱い) | プレドニゾロン ヒドロコルチゾン |
体の部位によって強さを使い分ける
上記の強さを体の部位によって使い分けます。
粘膜に近い場所に使用する場合はV群の一番弱いステロイドを使用する場合が多いです。目の周囲や陰部周辺などが挙げられます。
頭部もステロイドの吸収率が高いのでⅣ群の中等度のステロイドを使用する場合が多いです。頭皮や頬や喉などに塗る市販薬によく使われます。あまり長期間塗るのには向かない部位です。
体幹である胸やお腹や背中は比較的ステロイドが効きづらい場所になるため、Ⅰ群〜Ⅲ群の強めのステロイドを使っても大丈夫な場所です。また、足や手のようなっふが分厚い場所はステロイドがなかなか吸収されないため、Ⅰ群やⅡ群のステロイドも使われます。
乳幼児の場合はどの部位であっても、使用するのはⅢ群〜V群にしておくのが安全です。
ステロイドの副作用
ステロイドは免疫力低下や糖尿病、肥満、潰瘍、精神病、高血圧など副作用が多く危険というイメージがあります。しかし、これはあくまで用法や容量を守らず使用した場合に発生します。
特に塗り薬のようなステロイド剤は手軽に使用できてしまうため、使ってはいけない場所に使ってしまうことが多く発生します。本来は手足に使うためのステロイド剤を「首が痒いから」という軽い気持ちで塗ってしまう。手足に使う市販薬に含まれているステロイドは強い段階であることがあるため、首に塗ると副作用が発生する危険性が上がるのです。
ですので、ステロイド剤自体が危険というよりは、使用方法を守らないのが危険なのだという意識を持って使えば良いのです。
ステロイド入りの虫刺され市販薬
代表的なステロイド入りの虫刺され市販薬をご紹介します。使用部位や年齢等によって適切な製品を選ぶようにしましょう。
◆ムヒアルファEX(15g)製造元:池田模範堂
ステロイド成分:プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(Ⅳ群 mild 中等度)
生後6ヶ月以降から使用できる、弱めのステロイド剤です。Ⅳ群なので全身に使用できます。とはいえ顔面は2週間以内、その他の場所は4週間以内で使用をやめ、症状が改善しない場所は医療機関を受診しましょう。
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◆テラ・コートリル(6g)製造元:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
ステロイド成分:ヒドロコルチゾン(Ⅴ群 weak 弱い)
商品のパッケージで女性が顔のできものを気にしているイラストが使われています。一番弱い段階のステロイドを使用しているため、顔面でも使用できる市販薬です。3.5~6日間の使用で効果がでない場合は、使用をやめ医療機関を受診しましょう。
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◆フルコートf(10g)製造元:田辺三菱製薬
ステロイド成分:フルオシノロンアセトニド(Ⅲ群 Strong 強い)
Ⅲ群に分類される強目のステロイド剤なので、目や粘膜の周辺には使用してはいけません。3.5~6日間を目安に様子を見て症状が改善しないようなら病院に行きましょう。また異常を感じたらすぐに使用をストップしましょう。基本的には体幹や手足に使うのが無難です。
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◆ベトネベートN軟膏AS(5g)製造元:第一三共ヘルスケア株式会社
ステロイド成分:ベタメタゾン吉草酸エステル(Ⅲ群 Strong 強い)
こちらもⅢ群に分類される強目のステロイド剤です。やはり体幹や手足を中心に使用し、短期間の使用で様子を見ます。
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虫刺されにステロイド市販薬は強い味方
これからの季節、虫に刺されるのを完全に避けるのは難しいです。炎症が起きていたら、正しいステロイド剤の使い方をすれば、症状を抑えることができます。不快指数が高い夏を気持ちよく乗り切るために、ステロイド市販薬を安全に活用しましょう!
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