アルコール好きな人の味方!肝臓水解物とはいったい何者?

お酒は楽しく飲みたいもの。うっかり飲みすぎてトイレから出られなくなった経験をした方も中にはいらっしゃるでしょう。一度つらい思いをすると次からはそうならないように何か対策をしようと考えます。そこで手に取る可能性のあるもののが「肝臓水解物」と「ウコン」の2種類。多くの方はこのどちらかを買われます。

数年前まではウコンが圧倒的に売れていましたが、今では肝臓水解物が数を抜きつつあります。肝臓水解物の方が二日酔いの防止には良いって聞くけどいったい何がそんなに良いの?なんでわざわざ値段が倍以上も高い肝臓水解物を選ぶの?ここでは肝臓水解物とアルコールの関係やウコンとの違いなどをご紹介しています。

1.肝臓水解物とはいったい何?

肝臓水解物って最近よく聞くけどいったい何のことなの?と思っている方が多いかと思います。私もまだ薬について詳しく勉強する前はまったく同じことを思っていました。名前から察するに肝臓を分解したものなのかな?とは想像がつきますね。はい、その通りです。肝臓水解物とはウシやブタなどの肝臓を加水分解して細かくアミノ酸の形まで分解したもの。

アミノ酸がたくさんくっついていくとたんぱく質ができるのですが、これを元のアミノ酸の形にまで分解してしまうのです。そうやってできたのがこの肝臓水解物なのです。

2.悪酔いの原因「アセトアルデヒド」の秘密

お酒を飲むと途中まではほろ酔いでふわふわとして気持ち良いですよね。おいしいおつまみと楽しい話につられて調子に乗ってグビグビお酒を飲んでいると「あー、気持ち悪いー。」となってしまいます。飲みすぎると翌日までこの気持ち悪さは続き、人によっては頭痛がしたり胸やけがしたりします。

お酒を飲みすぎると現れるこれらの症状の原因は「アセトアルデヒド」と呼ばれる物質です。1度は聞いたことがあるのではと思います。せっかくの楽しいお酒の場を苦しめるアセトアルデヒドについてまずはお話していきます。

2-1.アセトアルデヒドは体にとって毒

アルコールが代謝される過程でできるアセトアルデヒド、これがお酒を飲んだときに現れる不快な症状の原因です。アセトアルデヒドは体にとっては毒のようなもの。じゃんじゃんアルコールを飲んでじゃんじゃんアセトアルデヒドが作られるとご想像の通り吐き気や嘔吐といった症状に繋がるのです。

「お酒をたくさん飲んでも酔わない人って何が違うの?」こんなことを思うのも無理はありません。だってアルコールを飲んだら誰でも体内でアセトアルデヒドが作られてしまうのですから。ではいったいどんな違いがあるのでしょうか。それはアセトアルデヒドを分解する力の差が関係しています。
アセトアルデヒドが分解する力が強い人はいわゆるお酒に強い人です。アセトアルデヒドが体に悪さをする前に分解してしまうので吐き気や頭痛などの症状が起こりにくいのです。

2-2.人によって強さが違う?お酒を代謝する2つの酵素

アルコールは体内に入ると胃や小腸から吸収されます。吸収されたアルコールは最終的に肝臓で分解され最終的には水や二酸化炭素になって体の外に出ていきます。アルコールが体に入ってから分解されるまでに2つの酵素が関係しているのですが、この酵素の働きが実はとても大事なのです。

・酵素その1 アルコール脱水素酵素
体に入ってきたアルコールをアセトアルデヒドに分解する酵素です。日本人はこのアルコール脱水素酵素の働きが強いという特徴があります。強いなら良いなじゃい!って思った方、残念ながら間違いです。アルコール脱水素酵素の働きが強いということはアルコールがすぐにアセトアルデヒドに代謝されやすいということ。アセトアルデヒドは体にとって毒と同じものでしたよね。つまり日本人はアセトアルデヒドが体内で作られやすいということなんです。

・酵素その2 アルデヒド脱水素酵素
代謝されてできたアセトアルデヒドを水や二酸化炭素に分解する酵素のことです。ちなみに日本人はこの酵素の働きが非常に弱いです。つまりどういうことかというと、毒であるアセトアルデヒドが体の外にでづらいということ。

2つの酵素の働きから分かるのは日本人は遺伝子的にアセトアルデヒドが作られやすく、しかも分解されにくいということです。

余談ですが同じ日本人でもアルデヒド脱水素酵素の働きの強さがまったく違うってご存知でしたか?都道府県によってお酒が強い人が多いところ、弱い人が多いところとはっきり分かれているのです。日本で1番お酒に強い遺伝子を持つ人が多いのは秋田県。1番お酒に弱いのは三重県です。私の知っている三重県民もまったくお酒が飲めないので納得です。ものすごいお酒に強い人知り合いは岩手の人でしたね。岩手県は2番目にお酒に強い県です。都道府県によってアルデヒド脱水素酵素の遺伝子型の分布が違うそうです。

3.肝臓水解物はアセトアルデヒドにどう働く?

アセトアルデヒドがとにかくお酒を飲みすぎたときの、あのいまいましい症状の犯人だということは分かってもらえたでしょうか。ということはつまり、アセトアルデヒドを作らないようにするか、もしくはとっとと体の外に出してしまえば良いわけです。

3-1.肝臓水解物はアセトアルデヒドの分解を助ける

結論から言ってしまうと、肝臓水解物はアセトアルデヒドの分解を助ける働きがあります。体に悪さをするアセトアルデヒドを早く分解してしまえば吐き気や頭痛が起こりにくくなります。

肝臓水解物の主な効能効果は
・胃腸障害
・滋養強壮
・栄養補給

です。胃腸障害はいわゆる二日酔いによる胃のムカつきや吐き気のことですね。それ以外に夏バテによる食欲不振なんかにも効きます。肝臓水解物はお酒絡みのものだけでなく体の疲れにも効果的です。

肝臓はお酒を代謝するだけでなく、体を動かすエネルギーもせっせと作っています。肝臓水解物が肝臓のお仕事を手伝ってくれるので効率的にエネルギーを作れるようになるんですね。

3-2.肝臓水解物とウコンの違いとは?

「ウコンと肝臓水解物って何が違うの?」という質問は本当に良く受けます。ウコンが1本100円~200円で売っているのに対し、肝臓水解物が入ったものは1本400円のもので安い方。高いものだと何と1本で2000円くらいするものもあります。これだけ値段が違うのですからウコンと肝臓水解物に大きな違いがあってもおかしくはないですよね。

・肝臓水解物の働き
医薬品として販売されている肝臓水解物は、先程もご説明したように二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を助ける働きがあります。また弱っている肝臓の働きを助けて体の疲れを改善する効果も持っています。

・ウコンの働き
コンビニやスーパーに売っているウコンの表示を見たことがありますか?肝臓水解物のように効能効果という欄はありません。なぜならウコンは清涼飲料水だから。分類上ではお茶やジュースと同じなんですよ。

実はウコンがお酒の友として効果が期待できるかどうか、という点についてはまだまだハッキリしていない部分が多いんです。ただし、肝臓の働きを助ける効果があるとする意見があることは事実です。

ウコンがお酒に良いかどうかについては賛否両論ある状態なのです。サプリメントや健康食品の専門書にもウコンにアルコールの代謝に関わる働きがあることは書かれていません。

しかし、某製薬メーカーさんが言うには
・肝臓水解物は肝臓に救いの手を差し伸べてあげるもの
・ウコンはお酒の代謝に全力を出している肝臓にムチを売ってむりやり働かせるもの

とのことです。つまり弱っている肝臓を助けるには肝臓水解物の方が良いという結論で間違ってはいないでしょう。肝臓水解物が医薬品、ウコンが清涼飲料水ということからも効果の差は歴然です。

ちなみにしじみエキスが肝臓に良いと言われているのはアミノ酸を多く含んでいるからです。アルコールを代謝する力が直接あるわけではありません。

3-3.より効果を発揮させる肝臓水解物の摂り方

お酒による嫌な症状を予防するのに肝臓水解物が良く働いてくれることが分かりました。ここではでは肝臓水解物ついて良くもらう質問にいくつかお答えしていきます。

Q.お酒を飲む前と後のどちらに飲んだ方が効果的?

A.「どちらで飲んでも良いですが、お酒を飲む前に飲んでおいたほうが二日酔いなどの予防効果が期待できます。」
お酒を飲む前と後、どっちがいいのか?という質問ですね。あらかじめ吐き気や二日酔いなどの症状が起こらないように予防したい方は飲む前に飲んでください。

Q.値段が高いものと安いものがありますが何が違うんですか?

A.「配合されている肝臓水解物の量に違いがあります。また、値段の高いものほど貴重な生薬成分を配合してるものが多いです。」
肝臓水解物の量が商品によって違うんですね。一般的なものは1回あたり200mg、値段が上がると配合量が1回あたり300mgにまで増えます。1度に多くの肝臓水解物を摂取したほうがアセトアルデヒドの代謝を速めるというデータがあるため、より多くの肝臓水解物を含む商品の方が効果が高いと言えます。

また、1本2000円くらいするものには貴重な生薬が配合されています。生薬自体のお値段が高いため商品の価格も上がってしまうのです。

Q.肝臓水解物が入っている医薬品には錠剤のものと液体のものがあるけどどっちが効くの?

A.「効果の強さは同じです。違うのは効き目の速さ。一般的に液体の方がすぐに効果が現れます。」
肝臓水解物を配合した医薬品には錠剤と液体とがありますが、効果はどちらも大きくは違いません。ただし液体の商品の中には生薬成分を多く含むものがあります。そういった商品は錠剤と比べると効果がやや高いと言って良いでしょう。

液体の方が吸収されるまでの時間が短いので即効性があります。お酒を飲む前に飲むかたは液体を選ばれる方が多いです。日頃の疲労対策に毎日飲まれる方は錠剤を選ばれる場合が多いですが飲みやすい方を選んでいただけたらと思います。

4.まとめ

肝臓水解物とは何なのか、またどういった働きを持っているのか学んでいただけましたでしょうか。体に悪さをするアセトアルデヒドをなるべく早く体の外に出してしまおうと肝臓の働きを助けてあげるのが肝臓水解物です。

ウコンと値段を比較するとどうしても手を出しにくい感じはありますが、効果があるのは肝臓水解物の方です。

楽しいお酒の席のために、明日のためにぜひ肝臓水解物を味方につけてみてはいかがでしょうか。

The following two tabs change content below.
香川県観音寺市の創業100年になる福田薬局の三代目薬剤師。 ドラッグストア業界に30年従事、チェーンドラッグと日々戦い続ける毎日をおくる。2013年よりEC事業にも本格参入。2店舗の実店舗と7店舗のネットショップを運営。 ランチェスター戦略が大好きなミドルエイジ!