防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)という漢方薬、未だに根強い人気です。ドラッグストア業界では葛根湯は、かなり市民権を得ましたが、防風通聖散もなかなかのものです。一般的に市場に広がったのは1982年にカネボウ薬品(現クラシエ薬品)がコッコアポというネーミングで発売したことがきっかけになっています。現在では、小林製薬がナイシトールという商品名で発売しテレビCMでもおなじみになりました。防風通聖散は、漢方処方としての歴史は古く、世界三大美女の一人”楊貴妃”が服用していたと言われています。”楊貴妃”は、実は、ぽっちゃり体型であった?と言い伝えられていますよね。当時の皇帝は楊貴妃に夢中になりすぎて反乱が起きたという話も有名です。一度、お会いしたかったですね。本当に。。。
少し脱線してしまいましたが、今回は、この防風通聖散を服用すれば、本当にダイエットできるのでしょうか?よく聞かれるこの部分に遠慮なく、斬り込んでいきましょう!Here we go!
■防風通聖散の効能・効果
体力充実して,腹部に皮下脂肪が多く,便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘,蓄膿症(副鼻腔炎),湿疹・皮膚炎,ふきでもの(にきび),肥満症
漢方薬の効能って不思議な事が書いてると思いませんか?肩こりと蓄膿、肥満症って関連性がまったくないように思いますよね。
■防風通聖散の成分・分量
トウキ1.2g、シャクヤク1.2g、センキュウ1.2g、サンシシ1.2g、レンギョウ1.2g、ハッカ1.2g、ショウキョウ0.3g、ケイガイ1.2g、ボウフウ1.2g、マオウ1.2g、ダイオウ1.5g、硫酸ナトリウム十水和物1.5g、ビャクジュツ2.0g、キキョウ2.0g、オウゴン2.0g、カンゾウ2.0g、セッコウ2.0g、カッセキ3.0g
上記の18種類の生薬を配合しています。
漢方薬は、一般的に配合される構成生薬が少なければ少ないほど、効き目がシャープだと言われています。防風通聖散は前述したように18種類の生薬を含有した漢方処方なので、急性期に服用する漢方薬というよりも慢性的な症状を改善する処方と考えられます。
■防風通聖散の漢方的な解釈
防風通聖散は、漢方では瀉剤と言われる分類に入ります。瀉(しゃ)というのは「体の外へ出す」という意味です。体の中で過剰に摂取した栄養が毒素となり病気を引き起こします。つまりこの過剰な毒素を排出する漢方処方が防風通聖散です。
体の外へ出すのは、発汗、下痢、利尿作用によって、皮膚や腸管、尿などより排出していきます。
ここ数年、漢方処方のメカニズムが科学的に解明され始めるようになってきました。もちろん、まだまだわからないことも多いのですが、元来の東洋医学的考えに西洋医学的効果が追記されることが最近、増えてきています。
防風通聖散に腹部内臓脂肪の減少の効果があることも、この科学的な解明で発見されました。
■防風通聖散は実証向け処方?
漢方の独特な概念に「陰陽」とか「虚実」などという言葉があります。
陰陽というのは「森羅万象、宇宙のありとあらゆる事物をさまざまな観点から陰(いん)と陽(よう)の2つの分類で表現する」中国哲学です。一見、難しそうな概念ですが、日本人であれば感覚的に理解できるものです。
例えば、陽を暖かいと例えるなら陰は寒いイメージでしょうし、陽が明るいと例えるなら、陰は暗い、陽は乾いてるとすれば、陰は湿っているなど、いろんな例えで使います。
日本の中国地方に、山陽地方と山陰地方がありますよね。山陽地方は瀬戸内海に面し比較的晴天が多く穏やかな気候ですが、山陰地方は日本海側に面し降水や降雪も多く、山陽地方に比べ年間平均気温も低くなっています。つまり、山陽の「陽」は暖かい、乾いている、日照時間が長いという事を表しており、「陰」は寒い、湿っている、日照時間が短い。まさに山陰地方の事があてはまります。
この陰陽という概念に含まれる大事な要素が「虚実」です。
”虚”というのは、足りない、不足しているという状態で、その逆の”実”は、過剰に存在している状態のことをいいます。気力体力が充実している状態の事を実証(じっしょう)タイプ、その逆を虚証(きょしょう)タイプと呼びます。
防風通聖散は、実証タイプに用います。”実”の状態を”瀉”して健康な状態に導くという漢方処方なのです。
■防風通聖散の病院での症例
病院のドクターにも「先生、ダイエットに効果のあるツムラの62番出して下さい。」という患者さんが非常に多いようです。
断ると「どうしてもらえないの?」と、逆上する方も多く、悩ましい実情があるようです。
防風通聖散はあくまでも実(じつ)の方の過剰な毒素を排出する作用のもので、虚証(きょしょう)の方には使えませんし、大黄・芒硝という下剤も含有していますから腹痛や下痢の症状を起こす場合があります。ドクターの診断の上、自分の体質にあった漢方を処方してもらって下さい。
病院では、防風通聖散での多くの減量実績が出ています。但し、これには条件があり、食事制限と適度な運動にプラスして防風通聖散を活用してるという実態があります。
防風通聖散だけの服用で減量できた。という治験は残念ながらありません。
■防風通聖散を飲むだけでやせるのか?
この答えは残念ながら「NO」です。飲むだけでは体重が減少したりダイエットできたりという期待はしないでください。
ただし、本来の臓毒症(過剰な毒素を体内に溜め込んでいる状態)の改善効果はありますので、代謝アップや引き締め効果は期待できるかもしれません。体重計のるよりも、ウエストサイズを計測していくほうがよいかもしれませんね。
ダイエットで防風通聖散を利用する場合は、基本は、1に食事、2に運動・・・3番めが防風通聖散です。
1,2を同時に行っていただくと、代謝アップの防風通聖散の効果がよくわかります。
食事は間食を止め、夕食は軽めに。また、ペットボトル飲料などの飲み物も商品によっては糖質が多くかなりのカロリーです。
運動は、現在、全く行ってない方は散歩からでもOKです。筋肉量をつけることで、代謝があがり痩せやすい体質になっていきます。
特に体の中で大きな筋肉があるふくらはぎの筋肉は運動をしないと増えていきません。
無理な食事制限は、体重が落ちても筋肉量も低下してるため、ぶよんぶよんの体型になってしまいます。ひきしまった体型を維持するためにも運動は不可欠です。
筋肉がついていくと代謝もよく、リバウンドも少なくなります。食事制限と運動を併用しつつ、防風通聖散を服用していくことをおすすめします。
他には、ダイエット目的以外で防風通聖散を長く服用されてる方で慢性便秘の方がいらっしゃいます。
いままでは、数日、お通じがなく、お腹が張ったような状態がすごく苦しかった。「防風通聖散の服用でお腹の張りもなくなり、便通もすごくよい。」と、多くの方が喜んでいます。
刺激性の便秘薬を大量に服用されてる方は、どんどん服用量は、増えていきますので、一度、合間に防風通聖散をお試しください。
■まとめ
今回は、防風通聖散でのダイエットをテーマに考えてみましたが、残念なことに服用するだけでは減量効果はありません。
但し、肥満症には病院でも高い効果が出ており、食事療法と運動療法を併用することが大事です。
防風通聖散を併用することで代謝があがりやすく結果が早く出やすい、リバウンドが少ない。などの結果が出ています。
まずは、少しずつでもよいので例えば、間食をやめる、食後、散歩をする。などから始めてみてはいかがでしょうか?
※防風通聖散は、漢方薬です。漢方はやさしい、副作用がない?等という先入観は捨て疑問や質問がある場合は、ご相談の上、お買い求めくださいね。すべての方に効果があるという医薬品ではありませんので、合わない方もいらっしゃいます。
効能書きにある「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症」まずは、これに当てはまるのか?どうか?ご検討下さい。
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