大人の尿パッドやおむつによるかぶれにカブナース、生理用品や汗などによるかぶれにフェミニーナ。どちらも「かゆみ」や「かぶれ」を対象としたお薬です。2つとも同じ小林製薬から販売されているお薬で、症状の対象はかゆみやかぶれ。ん?何だか似ていない?どうやって使い分けたらいいの?
そんな声が聞こえてきそうなこれら2つの商品の違いを見つけるべく、成分を1つひとつ見ながら違いを解説していきます。これでカブナースとフェミニーナのどちらを買うか迷わなくなりますよ。
1.カブナースの成分・特徴
最初にカブナースから詳しく見ていきましょう。カブナースは“大人の尿パッド・おむつ等のかぶれ治療薬 痛み・炎症を伴うかゆみに”が売りのお薬。
「尿パッド」
「おむつ」
によって起きたかぶれを治療していくものです。つまり、主に「お尻」に塗ることを想定して作られています。
1-1.カブナースの成分(100g中)と働き
カブナースには以下の5種類の成分が配合されています。
・デキサメタゾン酢酸エステル 0.025g
・ジフェンヒドラミン塩酸塩 1.0g
・リドカイン 0.5g
・グリチルレチン酸 0.1g
・イソプロピルメチルフェノール 0.1g
〈デキサメタゾン酢酸エステル〉
いわゆるステロイドです。ステロイドと聞くと怖いとか危ないというイメージを持ってしまうかもしれません。実はそうでもなくて、正しく使えば効果も安全性も高いお薬です。ステロイドについて書いている記事で詳しく触れています。
デキサメタゾン酢酸エステルは炎症を抑えてあげる働きを持っています。尿パッドやおむつをしているとどうしてもかぶれてしまうもの。かぶれによる炎症を抑えて赤みを引かせます。
〈ジフェンヒドラミン塩酸塩 〉
抗ヒスタミン薬というものに分類される成分です。簡単に言うとかゆみ止めですね。かゆみを起こす原因となるヒスタミンの働きを抑えてかゆみを止めます。
〈リドカイン〉
リドカインは麻酔です。麻酔なんか塗るの?ってびっくりされる方がいるかもしれませんが、市販のかゆみ止めにはリドカインって結構当たり前のように入っている成分なのでご安心を。かゆみをピタっと止めてくれる頼りがいのある成分です。
〈グリチルレチン酸〉
こちらは炎症止め。かぶれると患部が赤くなったり腫れたりします。そのような症状をこのグリチルレチン酸が止めてくれます。
〈イソプロピルメチルフェノール〉
これは殺菌成分ですね。市販薬ではかなりメジャーな殺菌成分で塗り薬には特に良く配合されています。かぶれを起こす原因となる雑菌をやっつける成分です。
1-2.カブナースの特徴
カブナースの成分を見ると、ステロイド剤が入っていることが分かります。ステロイド剤であるデキサメタゾン酢酸エステルとグリチルレチン酸によって炎症を止め、ジフェンヒドラミン塩酸塩とリドカインでかゆみを止める。イソプロピルメチルフェノールで殺菌をして症状を抑えていくといったところでしょうか。
2.フェミニーナの成分・特徴
次にフェミニーナの成分についてじっくり見てみましょう。フェミニーナは“デリケートゾーンのかゆみ・かぶれに”と謳っている商品で、お尻ではなく陰部の周りに塗ることを想定して作られているお薬です。
2-1.フェミニーナの成分(100g中)と働き
フェミニーナには以下の4つの成分が含まれています。
・リドカイン 2.0g
・ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
・イソプロピルメチルフェノール 0.1g
・トコフェロール酢酸エステル 0.3g
〈リドカイン〉
リドカインは簡単に言うとかゆみ止め、詳しく言うと麻酔の役割をする成分です。むずむずとするかゆみがこれ以上伝わってこないようにピタっと止めてくれます。
〈ジフェンヒドラミン塩酸塩〉
ジフェンヒドラミン塩酸塩もかゆみ止めとして配合されているのですが、リドカインとはちょっと働きが違います。こちらはかゆみの原因物質の働きを抑えることでかゆみを鎮めていくものです。
〈イソプロピルメチルフェノール〉
カブナースにも入っていましたね。雑菌をやっつける殺菌剤です。こういった塗り薬だけでなくボディーソープや制汗剤に入っていることもあります。
〈トコフェロール酢酸エステル〉
トコフェロール酢酸エステルは分かりやすく言うとビタミンEのことです。ビタミンもお薬としてちゃんと機能してくれるんですよ。ビタミンEは血行を良くする働きがあるので、肌の新陳代謝を促進して元の健康な肌へ導くお手伝いをしてくれます。
2-2.フェミニーナの特徴
フェミニーナにはステロイド剤は入っておらず、炎症止めの成分は1つも入っていません。リドカインとジフェンヒドラミン塩酸塩の2種類のかゆみ止め成分と殺菌剤のイソプロピルメチルフェノール、新陳代謝を良くするトコフェロール酢酸エステルで構成されています。
3.カブナースとフェミニーナの違い
製品のイメージだけ見ているとカブナースもフェミニーナも似たような働きのお薬に見えましたが入っている成分は結構違うんですね。
3-1.成分の違い
成分名 カブナース フェミニーナ
デキサメタゾン酢酸エステル 0.025g –
ジフェンヒドラミン塩酸塩 1.0g 2.0g
リドカイン 0.5g 2.0g
グリチルレチン酸 0.1g –
イソプロピルメチルフェノール 0.1g 0.1g
トコフェロール酢酸エステル – 0.3g
カブナースにはステロイド剤(デキサメタゾン酢酸エステル)が含まれているのでフェミニーナよりも炎症止めの効果は上。かゆみ止めの効果に関してはどちらもジフェンヒドラミン塩酸塩とリドカインを配合していますが、フェミニーナの方が効果は上です。どちらの成分もフェミニーナの方が多く配合されているからです。
殺菌効果はどちらも殺菌成分としてイソプロピルメチルフェノールを全く同じ量だけ配合しているので同じと言えます。新陳代謝を上げるトコフェロール酢酸エステルはフェミニーナにしか入っていない成分ですね。
ポイントをまとめると
・カブナースは炎症止めの効果に優れていてなおかつ、かゆみもある程度抑えてくれる。
・フェミニーナは炎症止めの成分は入っていないけどかゆみ止めの効果はバッチリ。
といったところになります。
3-2.価格の違い
お取り扱い店舗によって価格に差はありますがおよそ以下のお値段でそれぞれ販売されています。
・カブナース 15g 約1,000円前後
・フェミニーナ 15g 約1,000円前後
〃 30g 約1,300円前後
同じ大きさ同士で比べたら税込み価格はどちらも大差ありません。ほとんど同じ値段で販売されています。
4.カブナースとフェミニーナの使用方法・使い分け
どちらも用法用量には“1日数回、適量を患部に塗布してください”と書かれていますが、それぞれが指している「患部」の場所が違うのでご注意を。
カブナースはお尻、フェミニーナは陰部付近です。ちなみに手元にカブナースがあるからといってフェミニーナの代わりに使うのは厳禁。ステロイド剤はどこの場所に塗るかによって濃度や強さ、量を調節しないといけないお薬です。
さらに陰部は非常にステロイド剤が吸収されやすい部位。どんなに症状がつらくてもステロイド剤の入ったカブナースをフェミニーナ代わりに使うことはやってはいけません。副作用が起こりやすくなってしまいます。
逆にカブナースの代わりにフェミニーナを使うのは特に問題ありません。フェミニーナをおむつや尿パッドでかぶれてしまったお尻に塗っても大丈夫です。ただし、炎症止めの成分が入っていないのでとりあえずかゆみを抑えるだけ、といった効果しか見込めません。
難しいことは考えずにお尻にはカブナース、陰部にはフェミニーナと分けて使ってもらえたら1番安心です。
5.まとめ:カブナースとフェミニーナは成分も使用箇所も違う
どちらも小林製薬から出ている上に、似たような場所に塗るイメージのある医薬品。値段も同じくらいですし、一体何が違うのと思ってしまいます。でも、よく見てみると入っている成分が違うんですね。カブナースは炎症を止めるのが、フェミニーナはかゆみを止めるのが得意なお薬です。
お尻のかゆみにはカブナース、陰部周りのかゆみにはフェミニーナと場所によって使い分けたら完璧。しっかり使い分けて気になる症状を抑えていきましょう。
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