「ステロイド剤は危ない、余計に症状がひどくなる。」「できれば使わない方がいい。」このような声を皆さんも1度は聞いたことがありませんか?なぜ副作用が起きてしまうのかという部分は置き去りにされ、ステロイドは危ないという情報だけが1人歩きをしている状態になってしまっているのが現状です。そこでここでは、そもそもステロイドとは何なのか?ステロイドは本当に危険なお薬なのか?ということについてお話していきます。
“ステロイド”っていったい何?
ステロイド剤は危ないものと認識されている方が多くいますが、実はステロイドという成分自体は私たちの体の中で常に作られているものなのです。「えっ?そうだったの?」という声が聞こえてきそうですね。腎臓の上には副腎という臓器があるのですが、その副腎にある皮質という部分からステロイドは分泌されます。そのためステロイドは“副腎皮質ホルモン”とも呼ばれているのです。体内で分泌されたステロイドはさまざまな働きをしています。
- 炎症を抑える効果
- 免疫の調節
- 血糖値の調節
- 骨の形成の調節
悪いイメージのあるステロイドですが、このように体内の働きのバランスを取り持ってくれる役割を果たしているのです。どうでしょう。少しはステロイドに対するイメージは変わったでしょうか。
「ステロイドは副作用が怖い薬だ」と言われるようになった理由
ステロイド剤は副作用が出やすいから危ないと良く言われますよね。しかし、なぜこんなイメージがついてしまったのでしょうか。ステロイドのイメージが悪くなったのは1990年代にマスコミによって「ステロイドは危ないものだ!」と大々的に報道されたステロイドバッシングがきっかけだと言われています。「ステロイドはアトピーを悪化させる。」「ステロイドは今すぐやめるべきだ。」このような根拠のない情報があたかも事実であるかのように報道されてしまったのです。
でも実際に副作用が起きたという話も聞くけど??
「ステロイドを使って症状が治まったけど、塗るのをやめたら余計にひどくなってしまった。」
「ステロイドは1度使うとやめられなくなる。やめたらまた症状がぶり返す。」
「ステロイドを使うと皮膚に蓄積していく。」
このような話、良く聞きますよね。まず蓄積するというのは完全なデマです。皮膚に塗ったステロイドは2~3日もすれば少しずつ消失し始めます。やめたら症状がひどくなった、ぶり返したというのは、ステロイドをお医者さんの指示通りに使わずに自己判断でやめてしまった方に多い症状ですね。間違ったお薬の使い方をすれば、たとえステロイドじゃなくても副作用は起きやすくなりますよ。
一方でステロイドを正しく使っていても副作用が起きてしまうことがあります。特にステロイドの飲み薬を使っている方に見られますね。治療のためにやむを得ずステロイドを飲み続けなければならないことがありますが、長く飲んでいるとやはりどうしても副作用が出やすくなってしまうのです。病気を治すためと考えれば仕方のないことなのかもしれませんが、副作用が出てしまうというのも事実ではあります。しかし、副作用はステロイド以外のお薬でも起こりうるものであり、何もステロイドだけが特別に副作用が出るというわけではありません。
結局ステロイド剤は安全なの?
まず安全なお薬でなければこんなに広く使われることはありません。しかし、正しい使い方をしなければ他のお薬よりも副作用が出やすいというのは事実です。ステロイドはとても効き目の良いお薬であり皮膚の湿疹を治すだけでなく、ときには命に関わる大きな病気を治すこともできます。ステロイド剤が他のお薬と違うのは「使い方をしっかり守らないとダメ。」というところ。使い方を間違えなければ決して怖いお薬ではありません。
三雲 理麻
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