頭痛の種類と市販の痛み止めの選び方

普段の生活で感じる体の不調の中でも特に多いのが頭痛。急にズキズキと痛み出して寝込んでしまうことも時にはあるでしょう。そんな頭痛ですが一体なぜ起きてしまうのでしょうか。種類によっては市販薬で対応できるものと病院でないと治療ができないものとがあります。ここでは頭痛にはどのような種類があるのか、市販の頭痛薬はどのように使うと良いのかなど頭痛に関することを詳しくお話していきます。

1.頭痛の種類

頭痛には他の疾患が何も絡まずに起こる“一次性頭痛”と、何かしらの疾患により引き起こされる“二次性頭痛”の2種類があります。

一次性頭痛

  • 片頭痛
  • 緊張型頭痛
  • 三叉神経・自律神経性頭痛
  • その他の一次性頭痛

二次性頭痛

  • 頭頸部外傷・傷害による頭痛
  • 感染症による頭痛
  • 精神疾患による頭痛……など。

一次性頭痛

・片頭痛

「ガンガン」「ズキンズキン」するような痛みが特徴で、頭の片側だけに痛みが起こることが多いですが両側に痛みが起こることもあります。女性に多く見られ、人によっては痛みだけでなく目がチカチカしたり吐き気・嘔吐などの症状が出たりします。また、いつもは気にならない程度の光に敏感になり、明るいところにいるのがつらく感じることもあります。

・緊張型頭痛

ストレスが原因で起こると言われている頭痛です。精神的ストレスはもちろん、長時間にわたるパソコン操作や車の運転などの身体的ストレスも緊張型頭痛の原因となります。頭全体を締め付けられるような痛みが特徴です。首や肩の血行不良により痛みが起こるため軽いストレッチや運動によって痛みが改善します。

・三叉神経・自律神経性頭痛

いわゆる群発頭痛のことです。「目の奥をえぐられるような痛み」と例えられるほど痛みは強く、痛みのあまり窓から飛び降りてしまう人もいることから“自殺頭痛”とも呼ばれます。症状が1度出ると1日に数時間、1ヶ月~2ヶ月ほど痛みが毎日続きます。しばらくするとまったく痛みが出なくなり、半年から数年後に再び痛みが出るというのを繰り返す特徴があります。

・その他の一次性頭痛

水泳やランニングなどの運動をすることによって起こる頭痛、冷たいものを食べたときに起こる頭痛なども一次性頭痛の1つです。

二次性頭痛

・頭頸部外傷・傷害による頭痛

二次性頭痛の中でも最も多く見られる頭痛です。頭部の外傷などによって頭蓋内で出血することにより頭痛を生じます。

・感染症による頭痛

ウイルスや菌、寄生虫などの感染によっておこる頭痛です。急に発症し、発熱や悪心などの症状も伴うことがあります。風邪やインフルエンザによって起こる頭痛もこれに当てはまります。

精神疾患による頭痛

精神疾患による妄想が原因のもので「頭に何か埋め込まれている」などの妄想により頭痛を生じます。

 

2.市販薬で対応できる頭痛・病院へ行くべき頭痛とは?

市販薬で対応できる頭痛は上記で説明したもののうち、以下の4つです。

  • 片頭痛
  • 緊張型頭痛
  • その他の一次性頭痛
  • 感染症による頭痛

 

残りの頭痛は病院での治療が基本です。三叉神経・自律神経性頭痛に有効とされる治療薬は市販では販売されていません。また二次性頭痛の場合、他の疾病が原因となって引き起こされている頭痛であるため、そちらの治療を病院で進めていくことがまず重要です。

しかし、片頭痛、緊張型頭痛、感染症による頭痛でも病院へ行くことをお勧めする場合があります。片頭痛の治療薬にはまだ病院でしか貰えないお薬もあります。あまりに頻繁に片頭痛になる方、市販の痛み止めを飲んでも症状が治まらない方、痛みがとても強く出る方は病院でお薬を処方してもらった方が症状が治まりやすいかと思います。

緊張型頭痛もある程度はご自身で改善することが可能なのですが、精神的ストレスが大きく関係している場合にはへたに市販の痛み止めを飲むよりも病院で抗不安薬などのお薬を貰った方が痛みが引く場合があります。肩こりなどが原因の場合もコリをほぐすお薬を病院で貰うという手もあるので市販薬を使ってもなかなか症状が改善しない場合は病院で診てもらってください。

その他の一次性頭痛も市販薬を使っていただいても問題はないのですが、症状が長引く場合や市販薬を使っても改善しない場合は病院に行ってくださいね。

感染症による頭痛ですがちょっと風邪を引いたから頭が痛い、という程度であれば市販薬を使っていただいても問題ありません。しかしインフルエンザの場合はおそらく病院で他のお薬を貰っているでしょうから、飲み合わせが大丈夫なのかを必ず確認する必要があります。市販薬の中にはインフルエンザのときには飲んではいけない痛み止めもあるので注意が必要です。

また感染症による頭痛では髄膜炎や脳炎など命に関わる疾病を引き起こすこともあります。頭痛全般に言えることですが、いつもと違うと思ったら我慢せずにすぐに病院で診てもらうことが大切です。

市販薬で対応できる頭痛

  • 痛みが我慢できないほど強くはないもの
  • 他の疾病が関わっていないもの
  • 寝不足やホルモンバランスの乱れで起こるもの
  • 風邪の症状の1つとして頭痛が起きているもの

 

病院で対応すべき頭痛

  • 市販薬を飲んでも痛みが治まらないもの
  • 今までに感じたことがないくらい痛みがひどいもの
  • 頭痛の症状が長い期間続いているもの
  • 他の疾患が頭痛に関わっているもの

 

3.市販薬の正しい選び方

自分の症状に合った市販の痛み止めを選ぶためにも、まずは痛み止めに入っている成分について少し学んでおきましょう。それぞれの成分が入っているお薬も一緒に紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

●イブプロフェン

・特徴 抗炎症効果が高いので風邪薬や生理痛、歯痛や頭痛など幅広く使われています。安全性も高いことから市販の痛み止めの中で最も多く使われていえる成分です。どのお薬を買うか迷った際は、まずこのイブプロフェンが入っているものを選ぶと良いでしょう。

・胃腸障害 比較的出にくい成分です。

・使用可能年齢 15歳以上から。

【第(2)類医薬品】☆イブA錠(60錠)

イブプロフェン配合の痛み止めの中でも特に人気の商品です。量が多くお値段もそこまで高くないので選ぶ人が多いというのもありますが、痛み止めの効果も高く副作用が出にくいという点も人気の理由の1つです。

イブA錠はこんな方におすすめ

・風邪による頭痛
・生理前・生理中などに起こる頭痛
・我慢できないほどの痛みではない頭痛

 

【第(2)類医薬品】☆リングルアイビーα200 12cap

こちらもイブプロフェン配合の痛み止めです。イブA錠にはイブプロフェンが1回あたり150mg配合されていますが、こちらのリングルアイビーα200には200mgも含まれています。そのためイブAよりもさらに効き目の良いお薬です。液体カプセルなので溶けるのが速く、素早い効果が期待できるのもポイントです。

 

リングルアイビーα200はこんな方におすすめ

・他のイブプロフェン製剤を使っても効き目が弱いと感じた方

・とにかく痛みを早く抑えたい方

●アセトアミノフェン

・特徴 市販の痛み止めの中で最も胃腸障害の少ないお薬です。安全性もかなり高いことから小さなお子様からお使いいただけます。インフルエンザにも使える痛み止めです。

・胃腸障害 市販の痛み止めの中では最も胃腸障害が出にくいです。

・使用可能年齢 3歳以上から。 ※商品によって成分の配合量が違うため使用可能年齢が異なります。

 

小児用バファリン CII 32錠

こちらは3歳から服用が可能です。アセトアミノフェンのみしか入っていないので安心して服用できます。小粒で飲みやすいフルーツ味なのもポイントです。

 

小児用バファリンはこんな方におすすめ

・3歳から15歳未満の方

【第2類医薬品】タイレノールA(10錠)

こちらは15歳以上から飲めるアセトアミノフェン製剤です。眠くなる成分を含まずに空腹時でも飲めるのがポイントです。

タイレノールAはこんな方におすすめ

・強くない痛み止めを探している方

・胃に優しい痛み止めを探している方

・頭痛がそこまでひどくない方

●アセチルサリチル酸(アスピリン)

・特徴 軽度から中等度の痛みにお使いいただけます。他のお薬との相互作用が多く、胃腸障害もイブプロフェンやアセトアミノフェンに比べると出やすいです。

・胃腸障害 他の成分よりも出やすい傾向にあります。

・使用可能年齢 15歳以上から。

 

【第(2)類医薬品】バファリンA 40錠

アセチルサリチル酸が入っている市販のお薬で最も認知度が高いのがバファリンAですね。眠くなる成分を含みません。一緒に配合されているダイバッファーHTがアセチルサリチル酸の吸収を助け、胃の粘膜を保護してくれます。

 

バファリンAはこんな方におすすめ

・そこまで痛みは強くないが、アセトアミノフェンよりも効き目の良いお薬を探している人

 

●ロキソプロフェンナトリウム

・特徴 強い痛み止めの効果を持ち、効き目が速いのが特徴です。市販の痛み止めの飲み薬では最も効果が強いものです。第一類医薬品なので薬剤師に相談してから買う必要があります。

・胃腸障害 比較的少ないと言われています。

・使用可能年齢 15歳以上から。

 

【第1類医薬品】☆ロキソニンS(12錠×2個)

病院で貰えるロキソニンとまったく同じ成分が配合されています。病院で貰っていたロキソニンを切らしてしまった…という方はこのロキソニンを選ぶと良いですよ。体に吸収されてから効き目を示す活性型に変化するので胃腸の負担も出にくいです。眠くなる成分も入っていません。

ロキソニンSはこんな方におすすめ

・強い痛みがある方

・病院で貰っていたロキソニンで効果を確認できた方

 

【第1類医薬品】☆ロキソニンSプレミアム(24錠)

ロキソニンSにプラスして胃薬の成分とロキソプロフェンナトリウムの効き目を良くする補助成分がさらに配合されているロキソニンです。眠くなることがありますが、ロキソニンSよりもさらに高い効果が期待できます。

ロキソニンSプレミアムはこんな方におすすめ

・ロキソニンSを使っても痛みが治まらなかった方

・特に痛みがひどい方

 

番外編

ビタミン剤

緊張型頭痛のように首や肩のコリが原因で起こる頭痛でしたね。そのような頭痛にはビタミン剤の併用もおすすめです。日ごろからビタミン剤を飲んでおくことで頭痛の原因となる首や肩のコリを改善していきます。

 

【第3類医薬品】☆ナボリンS(21錠)

血行を良くするビタミンE、神経の傷みを治してくれるビタミンB12、筋肉の疲れに効果のあるビタミンB1などが配合されています。これらの成分の働きによって首や肩のコリを改善していきます。痛み止めのように飲んですぐに効くわけではなく数ヶ月単位で続けて飲むことで効果を実感しやすくなります。

ナボリンSはこんな方におすすめ

・首や肩のコリが原因で頭痛が起きる方

・頭痛が起こらないように対策をしたい方

 

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

【第2類医薬品】松浦漢方 呉茱萸湯エキス細粒 12包

実は頭痛に効く漢方薬もあるのです。その名も呉茱萸湯(ごしゅゆとう)。よく頭痛がするんだよね、というような人に起きる日常的な頭痛よりも、片頭痛のように吐き気を伴い発作的に起きる頭痛に向いているお薬です。体力が低下していて手足が冷えやすい人に適しています。
片頭痛に良く用いられる漢方薬ではありますが、呉茱萸湯には体を温める働きもあるため肩こりから来る緊張型頭痛にも効果的です。漢方薬と聞くと何日も飲み続けなければ効果が出ないものもありますが、こちらは症状があるときだけ飲んでもらえればOKです。ロキソニンやイブAなどとの併用も大丈夫なので、呉茱萸湯と他の痛み止めを一緒に飲む使い方もされます。

 

呉茱萸湯はこんな方におすすめ

・胃腸の調子が優れなくて市販の痛み止めが飲めないけど頭痛を止めたい方

・市販の痛み止めと併用しても大丈夫な頭痛に効く他の飲み薬を探している方

 

4.痛み止めの効果的な使い方と注意点

 

効果的な使い方
痛み止めの効果をしっかり発揮させるには「痛みが出たら我慢せずにお薬を飲む」というのが大切です。まだ我慢できるから…と飲むのを後回しにしてしまうと、お薬が効きにくくなってしまいます。ちょっとした痛みですぐに飲んでしまうのも胃腸に負担がかかるので良くはありませんが、痛みがひどくなりそうなら我慢しすぎずにすぐにお薬を飲みましょう。

 

痛み止めを使うときの注意点
一部のお薬を除いて痛み止めは基本的に「食後」に飲みます。空腹時に飲んでしまうと胃腸に負担がかかるためです。もし、どうしても食後が難しいときはコップ一杯の多めのお水で飲んでください。痛み止めの中には血液サラサラのお薬と併用ができないもの、その他飲み合わせがあるものもありますので、他にお薬を飲まれている方が市販で買われる際は念のためご相談ください。

 

5.頭痛の予防方法

 

できれば頭痛そのものが起きないように日ごろからできることをしておきたいものです。頭痛を予防するには以下のことを心がけると良いでしょう。

  • 規則正しい生活。
  • ストレスをためこまない。
  • ストレッチをする。

 

不規則な生活をしていると体に負担がかかり免疫力が低下して頭痛が起きやすくなります。睡眠不足も頭痛の原因の1つなのでしっかり睡眠も取りたいですね。ストレスも頭痛を引き起こしてしまいます。ストレスをためるなと言われてもなかなか改善することが難しいかもしれませんが、ゆっくりお風呂につかるなどして体も心も休めましょう。適度なストレッチも頭痛の予防に効果的です。特に首や肩まわりのストレッチを念入りに。肩甲骨を意識しながら軽く腕を回すだけでも問題ありません。凝り固まった筋肉がほぐれることで頭痛の予防につながります。

 

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三雲 理麻

大手チェーンドラッグ・調剤薬局に勤務経験があり、市販薬にも医療用医薬品にも精通。また、薬剤師以外にも「漢字好き」が高じて漢字検定準一級資格も取得。「 専門分野の難しい内容を分かりやすく!」がモットーで日々情報収集を怠らない。医薬品・健康食品・化粧品の配合成分の説明ならお任せ下さい!