せっかくの旅行なのに乗り物酔いのせいで気持ち悪い。吐き気がして旅先のおいしい料理が食べられない、そんなアクシデントを防ぐための必需品が酔い止めのお薬です。この酔い止めのお薬、みなさんはどんな基準で選ばれていますか?価格や入っている量だけで選んでいませんか?酔い止めも実は状況に合わせてご自分に合うものを選ぶのが正しい方法なのです。シーン別の市販の酔い止め薬の選び方や、おすすめの飲み方をご紹介しています。
乗り物酔いはなぜ起こる?酔いのメカニズム
乗り物酔いは「動揺病」や「加速度病」とも呼ばれていますね。カーブが多い山道、上下左右に動く船などのように強い揺れが起きる乗り物に乗っていると酔いやすくなります。車の中で下を向いていると酔いやすくなるよ、と子供のころに良く注意された覚えがあります。でもなぜ、乗り物酔いをしてしまうのでしょうか?その原因をいくつかご紹介します。
平衡感覚のズレ
車酔いの原因として良く知られているのがこの平衡感覚のズレによるものですね。乗り物の乗っていると不規則に上下左右に揺れますよね。車を発車させたり停車させたり、右に曲がったり左に曲がったり、とにかく常に動いています。
このような乗り物の揺れと、私たちが乗り物に乗っているときに見ている視覚情報、そして平衡感覚を保っている内耳が受け取る情報とがうまくかみ合わないことで酔いが起きます。
耳と目、そして実際の揺れからくる情報がズレているために脳が混乱して吐き気や頭痛などの乗物酔いの症状が出てしまいます。
臭いによるもの
車に乗ると、家の中や外にいるときとは違う車独特のにおいがしますよね。車の芳香剤やガソリンのにおいを感じることが多いのではと思います。このような車独特の臭いも乗物酔いを起こす原因です。
車に乗っているときに限らず、自分が好きではない臭いがするところにいると気分が悪くなります。不快な臭いがする空間にいると誰でも気分が悪くなってしまいますが、それに加えて車の揺れを感じることで酔いやすくなってしまうんですね。
「酔ってしまうかも?」という不安も原因に
「今から3時間も車に乗らなきゃ。酔ったらどうしよう…。」なんていう、乗り物酔いに対する不安も実際に酔いを起こす原因になります。過去にひどい車酔いになった経験のある方はなおさら、乗り物に乗るのが不安になりますよね。
乗り物酔いに対する不安が強い方だと、大して揺れの強くない平坦な道でもすぐに酔ってしまうことがあります。
シーン別!市販の酔い止め薬の選び方
私の勝手な印象にはなりますが、「酔い止めください。」とお店で言われる方の多くが特に酔い止めのお薬の種類にこだわりを持っていない方なんです。市販の酔い止めの違いを知っている方がそれくらい少ないんですね。
かく言う私も恥ずかしながらドラッグストアで働き始めるまでは酔い止めの種類がこんなにあるのを知りませんでした。酔い止めにいくつか種類があることを知っていたほうが自分に合ったお薬を選びやすくなるのでぜひ、酔い止めの違いについて知っておきましょう。
長時間、乗り物に乗るとき
一般的な酔い止めのお薬は1回飲むと3~4時間くらい効果が持続します。このようなタイプのお薬は1日に最大3回まで飲むことができます。短時間のドライブなら良いですが長時間乗り物に乗る場合はいちいち飲み直すのが手間になってしまいますよね。そこで選びたいのが1日1回だけ服用するだけでOKの長時間タイプの酔い止め薬です。
エスエス製薬 アネロンニスキャップ
・マレイン酸フェニラミン 30mg
・アミノ安息香酸エチル 50mg
・スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.2mg
・無水カフェイン 20mg
・ピリドキシン塩酸塩 5mg
- アネロンニスキャップの特徴
アネロンニスキャップは15歳以上から使える1日1回タイプの酔い止めです。効果が長く持続するように作られているので飲み直しがいらない便利なお薬です。主成分となるマレイン酸フェニラミンに加えてアミノ安息香酸エチルやスコポラミン臭化水素酸塩水和物などの吐き気を抑える成分も配合されています。頭痛やめまいのケアをしてくれるカフェインも入っていますね。大人の方にけっこう人気のある商品ですよ。
エスエス製薬 アネロン「キャップ」 ジュニア
・マレイン酸フェニラミン 15mg
・臭化水素酸スコポラミン 0.1mg
・ビタミンB6 2.5mg
・アミノ安息香酸エチル 25mg
・無水カフェイン 10mg
- アネロン「キャップ」ジュニアの特徴
こちらは7歳~14歳の方が使う子供用の酔い止めですね。1日に1回だけの服用で良いので、一日中乗り物に乗る予定がある日はアネロン「キャップ」ジュニアを飲んでおくと安心です。入っている成分は大人用のものと同じですが、成分の量が違うので年齢に合わせて選びましょう。5種類の有効成分が入っているのでしっかりと効いてくれますよ。
乗り物に乗る時間が3~4時間以内のとき
一日中のりものに乗っているわけではなくて3~4時間くらい効くものをお探しであれば効果の持続時間が比較的、短時間のもを選びましょう。
大正製薬 センパアQT
- センパアQTの成分(1錠中)
・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 2mg
・スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.25mg
- センパアQTの特徴
センパアQTは15歳以上から使える大人向けの酔い止め薬です。口の中でサッと溶けるようにできているのでお水なしで服用できます。ポーチなどに入れておけばいつでも飲めるのはとても便利ですね。
カフェインが入っていないタイプの酔い止めなのでカフェインに対して過敏な方も安心して服用できます。お薬がすぐに溶けるようにできているので、酔ってから飲んでも効果を発揮してくれますよ。
エーザイ トラベルミンジュニア
- トラベルミンジュニアの成分(1錠中)
・ジフェンヒドラミンサリチル酸塩 20mg
・ジプロフィリン 13mg
- トラベルミンジュニアの特徴
トラベルミンジュニアは5歳以上11歳未満の方が服用できる酔い止めです。1回飲むと効き目が3~4時間くらい続きます。間の時間を4時間以上おけば最大で1日に3回まで飲めます。
大人も子供も飲めるものが欲しいとき
家族で旅行するからみんなの分の酔い止めが欲しい、でも年齢によって何種類も買うのはちょっと面倒ですよね。そこでおすすめしたいのが家族で使えるファミリータイプの酔い止めです。
エーザイ トラベルミンファミリー
・トラベルミンファミリーの成分(2錠中)
・塩酸メクリジン 25mg
・スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.16mg
- トラベルミンファミリーの特徴
飲む量を調節することで5歳の子供から15歳以上の大人までこの1つの商品で対応できます。年齢によって酔い止めを買い分けしなくていいのはとても便利ですね。1度飲んでから間の時間を4時間以上おけば1日に最大で2回まで服用できます。効果の持続時間はだいたい3~4時間くらいです。
子供でも飲みやすい液体や飴のタイプ
小さな子供ってお薬を嫌って飲んでくれないことがあるんですよね。でも車酔いで具合が悪くなられるのも困ります。そこでおすすめなのがジュースのように液体になっているタイプのものと、飴玉状のタイプの酔い止めです。
大正製薬 センパアドリンク
- センパアドリンクの成分(1本20mL中)
・クロルフェニラミンマレイン酸塩 1.3mg
・スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.08mg
- センパアドリンクの特徴
3歳から10歳のお子さんが使えるドリンクタイプの酔い止めです。ぶどう味のジュースのような感覚で飲めます。これならお薬嫌いなお子さんでも飲んでくれそうですね。間の時間を4時間以上おけば1日で最大2回まで服用できます。
エーザイ トラベルミンチュロップ
- トラベルミンチュロップの成分(2錠中)
・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 1.33mg
・スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.166mg
- トラベルミンチュロップの特徴
飴玉のタイプの酔い止めです。お子様用の酔い止めはセンパアドリンクのような液体のものよりもトラベルミンチュロップのように飴玉になっているタイプのものの方が圧倒的に人気ですね。飴だとお菓子感覚で舐められるからでしょうか。普通の飴と見た目が似ていますが、トラベルミンチュロップは医薬品なのでお子様がお菓子と間違えて食べないようにだけ気をつけてくださいね。
トラベルミンチュロップは完全に子供向けの商品に見えますが、実は大人の方でも飲んで大丈夫なんですよ。下は5歳から服用OKです。ファミリータイプの酔い止めをお探しの方は子供でも飲みやすいトラベルミンチュロップを選んでも良いかもしれませんね。
効果を最大限、副作用は最小限に!酔い止め薬の正しい使い方
せっかく楽しい旅行やお出かけに備えて酔い止めを買ったのに、間違った使い方をしては意味がありません。しっかり効き目が出るように正しく使う必要があります。
酔い止めはできるだけ乗り物に乗る30分前には飲む
酔い止めを飲むときは乗り物に乗る30分前には飲んでおくようにしておきましょう。これはお薬が効き始めるまでにだいたい30分かかるためです。車に乗ってから飲んでも薬が効き始めるのは約30分後。その間に酔ってしまっては意味がありません。商品の箱に「酔ってからでもOK」と書かれていたとしても、お薬の効果を最大限い発揮するためにはやはり30分前には飲んでおくのをおすすめします。
風邪薬や鼻炎薬とは一緒に飲まない
風邪薬や鼻炎のお薬にも酔い止めの成分と似ている成分が入っているものが多くあります。それらのお薬を一緒に飲んでしまうと眠気などの副作用が大きく出てしまう恐れがあります。
緑内障や前立腺肥大症の方は注意
酔い止めのお薬の成分が眼圧を上げたり、排尿困難などの症状を悪化させたりする恐れがあります。このような疾患をお持ちの方は医師に相談してから服用するようにしましょう。
酔わないための対策を!乗り物酔いをしないようにするには?
乗り物酔いをしないようにするためには、以下のことを心がけてみましょう。酔いやすい方でも少し工夫をすると酔いにくくなりますよ。
- お出かけの前日はゆっくりと寝る
- 空腹のまま乗り物に乗らない
- 朝からご飯を食べ過ぎない
- 柑橘系の食べ物は食べないようにする
- 車の中で本を読んだりスマートフォンをいじったりしない
- 窓を開けて換気をし、遠くを見る
まとめ
今まで何となく選んでいた酔い止めも詳しく見てみると意外と種類が多いんですよね。乗り物に乗る時間の長さで選ぶも良し、子供も大人も一緒に使えるものを選ぶも良し、飲みやすさを考慮し飴のタイプを選ぶのも良いでしょう。
どのタイプの酔い止めを選んでも効果に大きな差はないと言われていますので、ご自分のスタイルに合ったものを選ぶのが大事です。
飲むときはできるだけ乗り物に乗る30分前にはお薬を飲んでおきましょうね。酔ってからでもお薬が効かないことはないのですが、効きが悪くなる可能性があります。旅行やお出かけを楽しむために、自分に合った酔い止めを見つけて楽しい1日を過ごしましょう。
三雲 理麻
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